・原子力発電所が1年間に放出する放射性物質を1日毎に放出してしまうという工場が再処理工場だ!

・再処理工場は、原子炉の中で燃えた燃料の中に含まれているプルトニウムを取り出すことを目的とした工場。
原子力発電所の燃料にまた再使用すると説明しながら再処理工場を設置。
・フランスに頼んで、1977年から東海村で小さな再処理工場を動かし始めた。 六ケ所の再処理工場もまたフランスに頼んで作ってもらいました。
・再処理時の高レベル放射性廃液をガラス状に固める部分だけをなんとか日本の技術でやろうとしたが、全くうまく動かず、結局現在は停止したままの状態になっている。
・すでに2兆数千億円のお金をかけてきた。電気料金から徴収するようになっている。
・電力業界の試算でも、今後六ケ所の再処理工場の後始末のために10数兆円という試算が出ている。 全部電気料金にまた上乗せされてくることになる。
・再処理工場に関しては原子力発電所の濃度規程は到底、適応できない、ということで濃度規制を再処理工場の場合には外してしまいました。
原子力発電所が1年間に放出する放射性物質を1日毎に放出してしまうという工場が再処理工場だ!
・日本は要するに、できなかったが、米国でもロシアでもイギリス、フランスでもずっと続けてきて環境に汚染を広げてきてしまった。







〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
7月6日 ひとつの原子力発電所が1年間に放出する放射性物質を1日毎に放出してしまう工場が再処理工場です。
/ラジオフォーラム第26回「小出裕章ジャーナル」2013年7月6日
【主なお話】「放射性廃棄物について」
【パーソナリティー湯浅誠(社会活動家)
【電話出演】 小出裕章京都大学原子炉実験所助教
◆湯浅
 今日も、放射能のゴミシリーズ第2弾ということで、六ケ所再処理工場についてお伺いしいんですけれども。
◆小出
 再処理工場という名前を聞くと、多くの方々が、原子力発電所が生み出してくる放射能のゴミを処理してくれる工場なのかと思われるようなのですが、そうではありません。
 再処理というのは、もともと原爆の材料を手に入れたいとして開発された技術でして、原子炉の中で燃えた燃料の中に含まれているプルトニウムという物質を取り出すという、ひたすらそれを目的とした工場なのです。
日本の場合には、原子力発電所からの使用済み燃料を持ち込んで、その中に含まれているプルトニウムを分離するというためのものです。
 そのプルトニウムはもともとは原爆の材料になる物質ですけれども、日本の政府はそれを原爆にするのではなくて、原子力発電所の燃料にまた使いたいのだ、と表向きはそう説明しながら再処理工場というものを作ろうとしてきました。
◆湯浅
 再処理というのは、あの放射性廃棄物が出ると、これは原発事故以降有名になりましたけど、え〜、放射性廃棄物を処理するための施設というよりは、そこからプルトニウムを取り出すことを再処理と呼び、それをやるための工場が六ケ所再処理工場なんだということですね。
◆小出
 そうです、はい。
◆湯浅
 それはこれまでいったいどういう成果というか、どういうこう役割、機能を今まで果たしてきたんですか。
◆小出
 日本という国は原子力については後進国なわけで、再処理という技術も全く持っていなかったのです。
 これまではイギリスとフランスにある再処理工場に、日本の原発で生み出された使用済み燃料を送って、そこで再処理してもらってきたのですけれども、どうしてもそのやはり日本としても原爆の材料を取り出す技術を身に付けておきたいということで、フランスに頼んで、1977年から東海村で小さな再処理工場を動かし始めたのです。
 その技術を使って、六ケ所の再処理工場、かなり大規模なものなのですが、それを今度は日本の独自の力で作り上げたいという夢があったのですが、結局それもできないということになって、六ケ所の再処理工場もまたフランスに頼んで作ってもらいました。
 しかし、それではあまりにも格好が悪いということで、再処理をした時に出てくる高レベルの放射性廃液というものがあるのですが、それをガラス状に固めようとするその部分だけをなんとか日本の技術でやろうとしたのです。 しかし、それが全くうまく動きませんで、結局現在は停止したままという状態になっています。
◆湯浅
 工場はあるけれど、実際には何もできていない、ということですか?
◆小出
 アクティブ試験という、私たちが呼んでいる実際の使用済み燃料を使ってテストをしてみるということを始めたのですが、結局うまくいかないで頓挫してしまっているという状態です。
◆湯浅
  相当お金もかかっているということですよね?
◆小出
 そうです。 当初は7000億円ぐらいでできるだろうといわれていたのですけれども、設計変更、設計変更で、すでに2兆数千億円のお金をかけてきましたのですけれども。
◆湯浅
2兆数千億。
◆小出
はい。
◆湯浅
このお金は、また例によって電気料金に反映してんですか。
◆小出
 そうです。 電気料金から徴収するようになっていますし、一度、再処理工場というものを動かしてしまいますと、それをつぶすにもたいへんなお金がかかってしまうということで、電力業界の試算でも10数兆円というお金が、今後後始末のためにかかってしまう試算になっています。
◆湯浅
 この六ヶ所再処理工場を後始末するのに。
◆小出
 そうです。それも全部電気料金にまた上乗せされてくることになります。
◆湯浅
 そうですか、この六ヶ所再処理工場っていうのは、こんな何て言うかこう、とっても危ないこと、あの危険性が高いことをやってるように聞こえるんですけど。
◆小出
 そうです。
◆湯浅
周辺環境には問題はないのですか。
◆小出
圧倒的な悪影響があります。再処理工場というのは膨大な放射性物質を取り扱いますので、例えば、海に放出する場合の放射性物質というのは、私のところの実験所でもそうですし、原子力発電所でもそうですがいわゆる濃度規制というのがあるのです。
 汚染した水を流す時には、1cc当たり何ベクレル以下の放射性物質しか流してはいけないというやりかたなのですが、再処理工場に関してはそんな規程は到底、適応できない、ということで濃度規制を再処理工場の場合には外してしまいました。
 その代わりに、排水管を沖合3キロまで引っ張っていって、海面下40数メートルの所から海に放出して薄めて流すという、そういうことになってしまっています。
◆湯浅
  通常の原子力発電所よりも危険なものを日常的に出しているってことですよね。
◆小出:
 そうです。 ひとつの原子力発電所が1年間に放出する放射性物質を1日毎に放出してしまうという、そういう工場が再処理工場です。
◆湯浅
1年間分を1日。
◆小出
 はい。
◆湯浅
 それで、この間、何十年もそれを続けてきていると。
◆小出
 日本は要するにできなかったわけですが、米国でもロシアでもイギリス、フランスでもずっと続けてきて環境に汚染を広げてきてしまいました。
◆湯浅
 な〜るほど。そうすると今までに2兆数千億をかけ、これから止めるにしても十数兆円が必要で、動いたら動いたで環境にたいへんな負荷をかける。
◆小出
 そうです。
◆湯浅
 そういうもの、ということは、やめた方がいいですよね。
◆小出
 もちろんです。こんなものをやるということは、私は正気の沙汰とは思えないです。
◆湯浅
以上、小出裕章ジャーナルでした。