・米国側ではなお北朝鮮への拠点爆撃のような武力行使による核武装の阻止という政策オプションもささやかれている。

・「この1年ほどの間に2回、金正恩第一書記への暗殺の試みがあり、党や軍が内部分裂して内戦となる可能性もあった」
・一連の核問題や人道問題も、金政権が消滅、あるいは崩壊すれば自然に解決される。
・米国側ではなお北朝鮮への拠点爆撃のような武力行使による核武装の阻止という政策オプションもささやかれている。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
拉致解決への最善は金政権崩壊   
古森義久  2013.12.21
 張成沢処刑の意味についてのレポートです。 とくに気がかりなのは、この異変の日本人拉致事件への影響でしょう。
北朝鮮の残酷な処刑が日本に好影響を与える理由
 チャ氏はさらに、金書記が政権内部のコントロール不足を補うために、外部に対して危険な軍事行動をあえてとって、内部の結束を狙うという可能性をも指摘した。 要するに金政権はこれまでも、そして今も内部の分裂が激しいという見方なのだ。 その分裂は張処刑だけで一気に解消できるはずはない。
 この処刑の後、金書記は独裁体制を急速に強化していくことができるのか。 それは、現時点では決して断言することのできない難しい予測であることが分かる。
■命を狙われていた金正恩
 金政権内部の分裂ぶりについて、ここで想起されるのは本コラムの「北朝鮮の崩壊に備えよ」(2013年10月23日)という記事で紹介した米国ランド研究所の報告である。
 同報告で示唆的だったのは「この1年ほどの間に2回、金正恩第一書記への暗殺の試みがあり、党や軍が内部分裂して内戦となる可能性もあった」という記述だった。「暗殺」や「内戦」という言葉は、報告発表の時点ではいかにも大げさに響いたものの、現時点では、張成沢氏の罪状の「金体制を強硬手段で覆し、権力を奪おうとした」という部分は、このランド研究所報告と合致してくる。
 米国が多数の人工衛星を用い、偵察や通信傍受などのテクニカルな手段で日夜北朝鮮内部の情報を集めていることは周知の事実である。
 北朝鮮の秘密のベールはそうした情報収集の試みを跳ね返すほど厚い。 しかし、米国が日本とは違う次元の北朝鮮情報をつかんでいることは確実だろう。 だから米国でも政府や 軍との絆が深いランド研究所の報告は特に注視に値するといえる。
 日本人拉致事件の解決が望める有力シナリオの筆頭は金政権の崩壊である。 米国側でもなお金政権の崩壊を予測し、期待する向きも多い。
 レジームチェンジ政権交代)は、オバマ政権でも北朝鮮政策の水面下の一角に確実に組み込まれている。
 一連の核問題や人道問題も、金政権が消滅、あるいは崩壊すれば自然に解決されるという見方である。日本人拉致事件もその解決の可能性の範疇に入るだろう。
 だからこそ米国側ではなお北朝鮮への拠点爆撃のような武力行使による核武装の阻止という政策オプションもささやかれている。
 民主党クリントン政権でCIA(中央情報局)長官を務めたジェームズ・ウールジー氏などは、つい最近公式の発言として北朝鮮拠点爆撃を提唱したほどである。
  張氏の処刑という異様な事件は、米国側の以上のような認識や期待、政策を期せずして浮かび上がらせた。
 そうした米国の見方に従えば、今後、北朝鮮金正恩政権が変化して日本人拉致事件の解決が見えてくる可能性も十分にあると言えるのだ。(終わり)