・国は公害病認定基準の見直しに柔軟になるべきだ! 1世紀は長すぎる!

カドミウムは体内に蓄積して腎臓障害を起こし、やがてカルシウムが体外に排出されて骨軟化症に至る。くしゃみ程度で骨折し、その激痛に苦しむ患者の叫びが病名の由来となった。
・国がイタイイタイ病を全国初の公害として認定してからだけで45年がたつ。 推定される最初の患者発生からは1世紀余りになる。「決着」までの道はあまりに長すぎた。
イタイイタイ病は、岐阜県飛騨市三井金属の鉱山から重金属のカドミウムを含む排水が神通川に流れ、コメや飲み水が汚染されたことで起きた。
イタイイタイ病で被害者団体と原因企業が「全面解決」を確認する合意書に調印した。合意にいたる交渉過程でも、国は、この方針に基づき、傍観者であり続けた。
・厳しい認定基準で補償が線引きされる問題は、水俣病でも同様だ!
・今回の合意で一時金支払いの対象者は500〜600人になる。
・国は公害病認定基準の見直しに柔軟になるべきだ!




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
イタイイタイ病 「決着」あまりに遅すぎた
2013.12.23 03:10 [主張]
 富山県神通川流域で起きたイタイイタイ病で被害者団体と原因企業が「全面解決」を確認する合意書に調印した。
 国のかたくなな認定基準の枠組みを超え、両者が一定の救済策を設けて歩み寄ったものだ。
 しかし、国がイタイイタイ病を全国初の公害として認定してからだけで45年がたつ。 推定される最初の患者発生からは1世紀余りになる。「決着」までの道はあまりに長すぎたと言わざるを得ない。
 イタイイタイ病は、岐阜県飛騨市三井金属の鉱山から重金属のカドミウムを含む排水が神通川に流れ、コメや飲み水が汚染されたことで起きた。
 カドミウムは体内に蓄積して腎臓障害を起こし、やがてカルシウムが体外に排出されて骨軟化症に至る。くしゃみ程度で骨折し、その激痛に苦しむ患者の叫びが病名の由来となった。
 国は昭和43年に公害病と認定したが、腎臓障害の段階では自覚症状がほとんどなく、日常生活にも支障がないとして公害による被害とは認めてこなかった。
 今回の合意にいたる交渉過程でも、国は、この方針に基づき、傍観者であり続けた。
 公害は一度発生すると、被害者の救済や環境回復に膨大な時間と費用を要する。被害者は肉体的、精神的苦痛を受けるばかりか、経済的にも追い詰められる。前段症状だけでは公害病と認めない国の判断基準も影響している。補償対象が広がる恐れがあるからだ。
 厳しい認定基準で補償が線引きされる問題は、水俣病でも問われている。その点を国は改めて強く認識し、今後の環境行政の教訓として生かすべきだ。
 今回の合意は、腎臓障害を抱える人々にも、一定の条件下で三井金属が1人60万円の一時金を支払うというものだ。 国の認定患者は196人(うち生存者3人)にすぎないが、今回の合意で一時金支払いの対象者は500〜600人になる。
 金額はともかく、腎臓障害者の高齢化が進む中での合意という点では一定の評価もできよう。 だが、公害被害は行政と企業の対応が遅れる分、拡大するという事実は改めて肝に銘じておきたい。
 原因企業による一時金支払いだけでは公害被害者の将来不安は解消しない。 国も認定基準の見直しに柔軟になるべきではないか。