・日本のインド進出は2013年末で1072社となった。

・日本のインド進出は2013年末で1072社となった。
・アーメダバードがデリー〜ムンバイ回廊のほぼ中間に位置する要衝となる。
・新開地「グルガオン」にホンダの大工場を筆頭に日本企業が密集している。
・グルガオンから西へ90キロ、マネサールやパワルなどに工業団地がある。
・日本と共同で開発したニムラナ工業団地へ進出する特権は付加価値税の免税措置、土地代の廉価供給。 電力の特価提供など数々の優遇条件あり、付近にはスズキ、ホンダなどの大工場がある。
グジャラート州にはすでにタタやフォードの工場もあり、ダイキン日本通運なども操業中である。
・ムンバイの東200キロにひらけるマハラシュトラ州のプネー。
 マハラシュトラ州はインド全体のGDPの15%をはじき出す商業地域。  ムンバイはまた映画製作でも世界的に有名。
・プネーはインド最大の商業都市ムンバイに近く、また輸出港ナパシェパには僅か130キロという便利性が付帯している。
バンガロールには集積回路、IT産業が密集した国際都市に変貌している。




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
インドで何が起きているか、連載(その2)   
宮崎正弘  2014.02.24
■日本の工業団地を大胆に誘致した地方政治家の決断 デリー〜ムンバイ回廊に高速道路と新幹線は日本が援助するのだ

インドでは土地の収用が大変なことを前節に述べた。しからば州政府が工業化を大目標として、開発公社を設立し、従来困難だった土地収用と団地の造成、開発を責任を持って実践し、水道、電気などインフラを整備する。 外国企業を積極的に呼び込む。
 どの国でもやっていることだが、ようやくインドでもこうした条件が整い、デリー郊外に二つ、となりのラジャスタン州とグジャラート州とにJetroと組んだ、日本企業専用の工業団地が出現、もしくは造成中という情勢となった。
 経済成長著しいグジャラート州には大工業団地が幾つかあるが、近未来に州都のアーメダバードがデリー〜ムンバイ回廊のほぼ中間に位置する要衝となる。
 そして南インドではハイダラバード、バンガロールを追って、チェンナイに日本企業の進出が夥しくなっている。
  順番にみていこう。
 第一に日本企業が「インド本社」を置くのは圧倒的に首都ニュー・デリーである。デリー市内には日本人のたまり場、日本食材店、日本料理レストランが夥しくある。日本人のバックパッカー専用の安宿もある。
 その南西がハリアナ州である。というより従来はデリー郊外の荒れ地、湿地帯だったが、急速に開発され工業団地、いや新都心ともなった。
 これが新開地「グルガオン」である。
 ホンダの大工場を筆頭に日本企業が密集している。グルガオンにはメトロも近くまで繋がり、第貳期工事で乗り入りが予定されており、日本人客が多いビジネスホテルもすでに数軒、殆どの宿舎でもWifi無料のところが多い。
 第二は、そのグルガオンから西へ90キロ。行政的にはラジャスタン州となるが、ここもデリー郊外、つまりデリーメガロポリスの内縁と言って良い。 マネサールやパワルなどに工業団地がある。
 はやくからスズキなどは工場をつくって二輪、スクータを大量生産してきた。 ホンダはグルガオンと、ここをあわせて年間200万台以上のオートバイ、スクータを量産している。
 ラジャスタン州を東西に抜ける国道八号線沿いに開発されたのが「ニムラナ工業団地」である。 ハリアナ州との州際で、デリー国際空港から105キロ、渋滞に巻き込まれても2時間、早朝、夜中なら30分で着く。
  日本と共同で開発した、このニムラナ工業団地へ進出する特権は付加価値税の免税措置、土地代の廉価供給。電力の特価提供など数々の優遇条件あり、付近にはスズキ、ホンダなどの大工場がある。
  第三は、そのラジャスタン州のとなり、グジャラート州である。
  前にものべたが、この州の首相(チーフ・ミニスター)が次期インド首相候補最有力のナレンドラ・モディ師である。
 モディ師はニムナラ工業団地の成功に刺激を受けて、日本企業の大規模誘致を決断、それのは「日本企業専用工業団地」の造成が近道という強い政治決断の下、着々と準備を進めた。 だからモディ師のリーダーシップの拠るところが大きいのである。
 グジャラート州にはすでにタタやフォードの工場もあり、ダイキン日本通運なども操業中である。
▼大学学園都市がハイテク産業の拠点に早変わり
 第四はムンバイの東200キロにひらけるマハラシュトラ州のプネーである。マハラシュトラ州はインド全体のGDPの15%をはじき出す商業地域であり、ムンバイはまた映画製作でも世界的に有名である。
 インドを代表するIT産業のメッカはハイドラバードとバンガロールだが、プネーも文教都市として開けたため大学が多く優秀なエンジニアを雇用しやすいという条件がある。
 プネーにはタタ自動車の工場が稼働しているが、くわえて近年、郊外のチャカン周辺に土地を確保した企業にはGM,ダイムラー、LG、フォルクスワーゲンなど。化学分野では3M。このプネー郊外にも「日本企業専用団地」の造成が決まった。
 プネーはインド最大の商業都市ムンバイに近く、また輸出港ナパシェパには僅か130キロという便利性が付帯している。
 すでに日本企業は百社ちかくが進出した過密地帯でもあるが、交通アクセス、商業のインフラなど立地条件に上積みされる有利な諸条件が整っている。  
 第五はバンガロール。コンピュータ産業、ソフト開発のメッカともいわれる高原都市には国際的企業が密集する。
 トヨタはコンパクト・カーの生産基地を付近に構え既にエティオス、イノーバなど年間31万台規模。 イノーバは南アへの輸出も始めている。ホンダも第三工場をバンガロール郊外に開設し、二輪車ばかりか、プリオ、シビック、アコードなど四輪自動車を12万台。 新興場が出来れば年間生産は24万台となる。
 バンガロールには集積回路、IT産業が密集した国際都市に変貌しており、筆者が最初に取材した7、8年前より、凄まじく様変わりした。
  第六はハイドラバードだが、ここは既に述べた(小誌4153号)。
  筆者は東郊外のハイテクシティを建学したがマイクロソフト、グーグル、アップルなどの拠点であり、ちかくアンドラブラデシュ州から分離独立するテランガナ州の州都でもあり、国際空港はインド各地ばかりかすでに世界各地からも乗り入れている。
  第七が南インドの玄関、タミル語の街、チェンナイ(旧マドラス)である。
 チェンナイ近郊にはヒュンダイ自動車の大工場があり、インド国内における販売シェアはスズキ、タタ、トヨタにつぐ勢い。 ノキア、小松、ルノー、日産もチャン内郊外のオラガダム工業団地とその周辺にある。チェンナイが州都のタミルナドゥ州はタミル語、おとなしいタミル人は日本人と肌があうという。
 こうして日本企業の生産拠点をおおきく集約すれば以上の七つ。日本のインド進出は13年末で1072社となった。
 これからも爆発的に伸びるか、どうか、次節ではインド経済全体が抱える問題点を検証してみよう。(つづく)