・中国は最終的には、アジア太平洋地域を支配する米海軍の対抗勢力になることを目指している。

・中国は最終的には、アジア太平洋地域を支配する米海軍の対抗勢力になることを目指している。 インド洋や中東地域での戦略的利益の保護も考えている。
・中国は、港湾への確実なアクセスの欠如がいずれ問題になることを認識している。
・中国の空母が米国に対抗できる能力を有するとしても、数十年はかかる可能性があると指摘する。
・中国が海洋進出を続けても主要な海上輸送路を確立するには10年以上がかかるとし、ホルムズ海峡など原油輸送の要衝の確保では米国への依存を続ける必要があるとみている。
海南島の海軍基地の先の地域では、中国が長期的に必要とするような港湾へのアクセスを手に出来る場所は見当たらない。  フィリピンやベトナムとの対立悪化も障壁になっている。
・米海軍は過去100年間にわたり(海洋進出を)進めてきた。現在でも戦略的ネットワークの維持や強化に努めている。
・中国が海洋進出を強化し始めたのは15年ほど前にすぎない。








〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国の海洋進出に「弱点」、不明機捜索で浮き彫りに   
古澤襄   2014.04.24
<[香港/北京 23日 ロイター] 先月消息を絶ったマレーシア航空機の捜索活動で、軍艦18隻などを派遣している中国。 その軍艦に救援物資を届ける同国の補給艦が今月に豪アルバニー港に入ったが、そこで浮き彫りとなったのは、「海外基地や友好港の不足」という中国にとって頭の痛い問題だ。
  乗客乗員計239人が搭乗したクアラルンプール発北京行きMH370便は3月8日未明に消息を絶ち、インド洋南部に墜落したとみられている。 中国は軍艦や沿岸警備船、民間貨物船、砕氷船を投入して捜索活動に参加しており、アナリストや域内の軍関係者らには、同国海軍の補給ラインも拡大を余儀なくされたと指摘する。
  中国軍当局者らは、政府が目標とする外洋海軍力を2050年までに持つには、「海外基地の不足」などの問題を解決する必要があることを理解している。     中国は最終的には、アジア太平洋地域を支配する米海軍の対抗勢力になることを目指しており、インド洋や中東地域での戦略的利益の保護も考えている。
 東南アジア研究所(シンガポール)のイアン・ストーリー氏は、「中国軍のプレゼンスや計画が拡大すれば、米国が持つような海外で使用できる港湾拠点の確立も必要になる」と指摘。  その上で「(こうした拠点への)長期的アクセスを求める交渉が始まる兆しさえないことには少し驚いている」と述べた。
  対照的に米国は、日本、グアム、インド洋のディエゴガルシア島の各基地を含む広範なネットワークを有し、シンガポールとマレーシアなど友好国の戦略的港湾も活用している。
 南シナ海への進出を強める中国だが、軍が持つ最南端の拠点は海南島にあるままだ。 同拠点は、マレーシア航空機の捜索活動の位置からは約3000カイリ(約5550キロメートル)も離れている。
 軍事関係者らは海外港湾へのアクセスについて、マレーシア航空機の捜索やアフリカ東部での海賊対策といった人道的活動の際は比較的容易に実現できるが、緊張が高まっている時は別問題だと指摘する。
  中国海軍を動きをウォッチする北京在住のアナリストは「中国は、港湾への確実なアクセスの欠如がいずれ問題になることを認識している」とし、「海軍が増強を続ける中、この問題は戦略的ジレンマとなる可能性がある」と語った。
  北京大学の査道炯教授(国際関係学)は、インド洋での不明機捜索はあくまで「例外」だとし、緊張が高まった際には、米国の同盟国が持つ港湾の活用が期待できないことを中国は理解していると述べた。
  同教授によると、中国は過去数年間でアジア太平洋、中東、地中海の港湾への友好的な入港を急増させている一方、長期的なアクセス確保に向けた協議はまだ当分先だという。  同教授は「このような交渉の周囲には扱いの難しい問題があり、一部地域では歴史的な疑念も存在する。まだ時期尚早だ」との見方を示した。
<米国に追いつくには数十年か>
 また将来的に空母打撃群を持つ計画も、中国の後方支援面の見通しを複中国の空母が米国に対抗できる能力を有するとしても、数十年はかかる可能性があると指摘する。雑化させている。
  1998年にウクライナから購入した中国初の空母「遼寧」は、軍事演習には参加しているが、完全運用にはさらなる時間を要する。 域内の軍関係者や専門家は、中国の空母が米国に対抗できる能力を有するとしても、数十年はかかる可能性があると指摘する。
 カリフォルニア大学世界紛争・協力センターのTai Ming Cheung氏は、中国人民解放軍(PLA)がマレーシア航空機の捜索活動で「重要な教訓」を学んだとし、世界展開が可能な軍事力の開発を上層部が後押しする可能性もあると指摘した。
<「真珠の首飾り」>
  欧米やインドの専門家は、中国がパキスタンスリランカバングラデシュミャンマーなどインド洋の港湾開発に資金協力する「真珠の首飾り」戦略を進めていると指摘しているが、中国側はこれに反発。
  中国のアナリストらは、これらの港湾施設が中国軍の基地として使われることはないと強調。  政情が不透明であることや、基地使用には強固な戦略的信頼関係が必要とされることから、長期的アクセスの合意に至るかは疑わしいとしている。
  前出のストーリー氏も、戦略アナリストの間では「真珠の首飾り」論を疑問視する声が広がっていると述べた。
  多くの専門家は、中国が海洋進出を続けても主要な海上輸送路を確立するには10年以上がかかるとし、ホルムズ海峡など原油輸送の要衝の確保では米国への依存を続ける必要があるとみている。
 シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院の軍事アナリスト、リチャード・ビツィンガー氏によると、中国が領有権を主張する南沙諸島(英語名・スプラトリー)の島などは、海外の主要基地としては規模が小さすぎると考えられている。
 ビツィンガー氏は「海南島の海軍基地の先の地域では、中国が長期的に必要とするような港湾へのアクセスを手に出来る場所は見当たらない」とし、フィリピンやベトナムとの対立悪化も障壁になっていると述べた。
  海底に石油や天然ガスが埋蔵されているとみられる南沙諸島周辺では、ベトナム、フィリピン、マレーシア、台湾がそれぞれ軍の基地を展開している。
 ビツィンガー氏は「米海軍は過去100年間にわたり(海洋進出を)進めてきた」と述べ、現在でも戦略的ネットワークの維持や強化に努めていると指摘。  中国が海洋進出強を強化し始めたのは15年ほど前だとし、「一夜にして(米国に)追いつくことは不可能だ」と語った。(ロイター)>