・中国は共産主義国家でありながら、日米欧による対ソ包囲網に参加し、ソ連を裏切って世界の大国に成りあがった。

・1960年代、中国は孤立した貧乏大国に過ぎなかったが、毛沢東は核開発に邁進し、成功した段階で、ソ連との国境紛争に及んだ。
・米国は、敵の敵は味方とばかりに中国に接近し、国連の常任理事国に据えて国交を樹立した。
・中国は共産主義国家でありながら、日米欧による対ソ包囲網に参加し、ソ連を裏切って世界の大国に成りあがった。
・中国の核ミサイルがソ連に向けられていたからこそ、日米欧の対ソ包囲網への仲間入りが出来た。
・北の核ミサイルはどこに向けられているのか? 北の核ミサイルが中国に向けられているか?
北朝鮮の7月9日の「スカッド」発射は、核開発担当幹部だったチョンビョンホ88歳の葬送の礼砲であった。
礼砲は、核問題では譲らないが拉致問題では譲歩する、そんな姿勢を示唆しているのか?









〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル     
宮崎正弘   2014.07.11
北朝鮮礼砲
  昨日(7月9日)早朝、北朝鮮弾道ミサイルスカッド」を2発、発射し日本海に着弾させた。 先月29日にもスカッド2発を発射しており、この時は7月3日の習近平・中国主席の訪韓を牽制したとの見方がもっぱらだった。
 では今回の発射は何を牽制したのか?  様々な憶測が飛び交う中、朝鮮中央通信北朝鮮の核開発担当幹部だったチョンビョンホ88歳の死去を伝えた。 つまり発射は葬送の礼砲だったのだ。
 だがこの礼砲は前回の牽制よりも重大な決意を示しているのかも知れない。 何故なら核ミサイル開発は成功だったと老幹部の功績を讃えている訳であり、従ってその成果である核ミサイルを放棄する意思がないことを示しているからだ。
  7月3日の中韓首脳会談で、北朝鮮の核放棄に向けて中韓の連携が明言されているから、これに対する反発であることは明らかだ。
 実は同日、日本政府は北朝鮮への制裁の一部解除を決定しており、度重なるスカッド発射にもかかわらず、この方針に変更はない。
  米国が無言であることを考え合わせれば、日米は北の核を容認し中韓は否認するという構図が見えてくる。
 北の核ミサイルが中韓には届くが日米には届かないという技術的理由だけではない、戦略的状況がそこには存在する。

1960年代、中国は孤立した貧乏大国に過ぎなかったが、毛沢東は核開発に邁進し、成功した段階で、ソ連との国境紛争に及んだ。  これを見た米国は、敵の敵は味方とばかりに中国に接近し、国連の常任理事国に据えて国交を樹立した。
 つまり中国は共産主義国家でありながら、日米欧による対ソ包囲網に参加し、ソ連を裏切って世界の大国に成りおおせたのである。 さて、もし北朝鮮が中国のかつての道筋を見習って核開発に邁進しているとするなら、北の核ミサイルはどこに向けられているのか?
 中国の核ミサイルがソ連に向けられていたからこそ、日米欧の対ソ包囲網への仲間入りが出来た。 同様の論理で北の核ミサイルが中国に向けられているのであれば、日米豪印の対中包囲網への仲間入りが出来る筈であろう。

  日朝間の最大の懸案は拉致問題である。日本に北朝鮮大使館が出来て、かつての拉致工作員たちが外交官特権を帯びて日本に赴任して来るなどという状況を、日本国民が容認できる訳はない。
  一方、北朝鮮にとって、拉致の首謀者であった金正日亡き後、拉致問題は妥協可能な問題である。
 北朝鮮の今回の礼砲は、核問題では譲らないが拉致問題では譲歩する、そんな姿勢を示唆していよう。