・プーチン説得はメルケルをおいて他にはない。

・マレーシア航空機が撃墜され、それも親露派武装勢力のミサイル攻撃の可能性が強まっているので、オバマ外交は親露派を支援してきたロシアに対する外交攻勢に転じている。
・対ロ経済制裁の強化を唱えてきたオバマ大統領に対してドイツなどEU諸国は必ずしも同調していなかったが、撃墜されたマレーシア航空機の乗客はオランダなどEU諸国が多数だったので、ロシアに対する心証が悪化している。
ウクライナ軍の軍事力では親露派武装勢力を屈服させるのは難しい。
プーチン説得はメルケルをおいて他にはない。
・298人のうち、193人がオランダ人。マレーシアが乗員15人を含む43人、オーストラリアが27人、インドネシア12人、英国10人、ドイツとベルギーが各4人、フィリピン3人、カナダとニュージーランド各1人となっている。乗客のうち80人は子どもだった。
武装勢力が機体の残がいや遺体を現場から運び出して証拠隠滅を図っているとの情報や、犠牲者の持ち物から現金や貴金属が略奪されているとの報告もある。








〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
”追い風”と”向かい風”なのだが     
古澤襄  2014.07.20
マレーシア航空機の撃墜事件をまったく違った角度からみてみよう。
オバマ政権にとっては追い風
  11月の米中間選挙を目前にしたオバマ政権にとっては思ってもみなかった”追い風”になっているのは間違いない。  オバマ外交はシリア情勢でバッシャール・アル=アサド大統領を支援するロシアとの外交戦で敗れた。  イランの核問題協議でもウラン濃縮活動制限交渉が期限の7月20日までにまとまらず交渉を4カ月間延長せざるを得なくなった。
  ウクライナ情勢も見方によればプーチン・ロシアに黒海の要衝・クリミアを奪われ、プーチンに名をなさしめた・・・オバマ外交はプーチン外交にしてやられたといえなくもない。
 しかし思ってもみなかったウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜され、それも親露派武装勢力のミサイル攻撃の可能性が強まっているので、オバマ外交は親露派を支援してきたロシアに対する外交攻勢に転じている。米国内でも対ロ強硬外交が強まっている。
  対ロ経済制裁の強化を唱えてきたオバマ大統領に対してドイツなどEU諸国は必ずしも同調していなかったが、撃墜されたマレーシア航空機の乗客はオランダなどEU諸国が多数だったので、ロシアに対する心証が悪化している。 全体として対ロ強行策を唱えているオバマ外交にとって”追い風”となった。
プーチン・ロシアにとっては向かい風
  プーチン大統領は紛争地域の上空に飛行許可を与えたウクライナ政権の非難を行ったが、もしミサイルを発射した犯行が親露派武装勢力によるものと断定されれば、高性能のミサイルと発射技術を親露派与えたロシアに対する国際世論の非難は免れない。
  加えてEU諸国の中でドイツに次いでロシアと経済的な結びつきが強いオランダの乗客の犠牲が多数も出ているのは、両国関係にとって無視しえない状況といえる。 対米外交というよりも対EU外交をこれ以上悪化させない思考が働くであろう。
 プーチン大統領にとってもマレーシア航空機の撃墜事件は思ってもみなかったハプニングといえる。
 まずはウクライナ東部地域でのウクライナ軍と親露派武装勢力の停戦を呼びかけ、そのうえでミサイル発射の真相追及という手順を踏むのではないか。 いまから親露派武装勢力の犯行と断定することは出来ないが、ロシアが不当にかばい立てするのはプーチン政権にとってマイナスになるのではないか。
ウクライナ当局
  ウクライナ軍の軍事力では親露派武装勢力を屈服させるのは難しい。 ましてクリミア奪還を悲願にロシア軍と対峙するのはやめた方がいい。 ここは欧米がウクライナを支援しているのだから、外交力で自国の利益を守ることに徹するべきだろう。 久しくソ連圏にあったウクライナだから、ともすれば軍事力に依存する習慣がなしとしない。 EUの一員になるのなら非軍事力に徹し、ロシアとも経済交流をする幅の広さが必要ではないか。
■ドイツの役割
  現状を打開するには、米ロが鋭く対立する状態のままではウクライナ情勢は見通しが暗い。おそらく親露派武装勢力も犯行を認めないだろう。 プーチン大統領と電話会談が可能なのはドイツのメルケル首相なのだから、誰の犯行かを追及することよりも「現状を平和的な手段で停戦に持ち込む」ことに話し合いの主眼に据えるべきだろう。プーチン説得はメルケルをおいて他にはない。

(CNN) ウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜現場では19日も遺体の確認、収容や検証の作業が難航し、欧州首脳らはロシアのプーチン大統領に協力を求めた。
 オランダのルッテ首相は記者会見で「現場への自由な立ち入りを可能にし、一刻も早く遺体を収容することが最優先」との認識を示した。
 同首相は同日、プーチン大統領との電話会談で「真剣に手助けしようとする意思を世界に示すべきだ」と迫り、親ロシア派への影響力を行使するよう求めたという。
 この日に発表された搭乗者名簿によると、マレーシア機に乗っていたとみられる298人のうち、193人がオランダ人。うち1人は米国籍も持っていた。そのほかの出身国はマレーシアが乗員15人を含む43人、オーストラリアが27人、インドネシア12人、英国10人、ドイツとベルギーが各4人、フィリピン3人、カナダとニュージーランド各1人となっている。乗客のうち80人は子どもだったとされる。
 墜落現場では覆面の武装集団メンバーらが監視するなか、欧州安保協力機構(OSCE)のチームが前日に続いて調査に入った。 しかし、武装勢力側の方針が二転三転するなど、現場は混乱している。飛行記録装置の行方も分かっていない。
 武装勢力が機体の残がいや遺体を現場から運び出して証拠隠滅を図っているとの情報や、犠牲者の持ち物から現金や貴金属が略奪されているとの報告もある。 ルッテ首相はこうした状況に「激しい嫌悪感」を示した。 武装勢力の指導者はそのような事実はないと否定している。
 ドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相もプーチン大統領に対し、検証現場への自由な立ち入りを可能にするための協力を求めた。米国のケリー国務長官は、ロシアのラブロフ外相との会談で同様に呼び掛け、親ロシア派に戦闘停止と和平交渉を促すよう要請した。
 ウクライナ当局によると、同機はロシアがウクライナの親ロシア派武装勢力に提供した地対空ミサイルで撃ち落とされた可能性が高く、「高度な訓練を受けた専門家」が発射したとみられる。ヤツェニュク首相は撃墜を「人道犯罪」と非難した。一方、ロシア側は撃墜への関与を否定している。(CNN)

(CNN) イランの核問題を協議する国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランは18日、交渉を4カ月間延長することで合意した。 欧米の複数の外交官がCNNに明らかにした。
 イランと6カ国は昨年末、イランがウラン濃縮活動を制限し、欧米諸国が経済制裁を一部緩和する第1段階の措置で合意。 この後、今月20日までを交渉期限とする包括的な最終合意を目指した協議を続けてきた。4カ月間の延長を決めた交渉はウィーンで開かれていた。
 ただ、一連の交渉ではイランの濃縮活動の制限の範囲やその実施期間などで意見対立が解けなかったとされる。(CNN)