・ゲームが変わった! 中国は「東風21D」の危険な挑戦を始めたが、アメリカは依然として空母優先思想に捕らわれ、従来的な軍事作戦の枠のなかでしか対応できないことは、なおさら危険である!

・「現状の秩序破壊は許されない」「法の支配に随うべきだ」と国務長官、国防長官が声を荒げた。
・中国の国防高官たちの口から出てくるのは「アメリカ、何するものぞ」と硬直的かつ勇ましく、畏れを知らない傍若無人ぶりだ!
オバマ大統領は4月下旬の訪日時に「尖閣諸島日米安保条約の適用範囲だ」と明言したが、「断固守る」とは言わなかった。
ゴビ砂漠で実験に成功したとされる中国の謎の新兵器「東風21D」は1500キロを飛翔する対空母破壊ミサイルは「フランケンウエポン」と呼ばれ、米軍は最大の脅威としている。
・空母優位思想は、東風21Dミサイルの出現によって根底的な意義を失う。
・中国から1500キロ離れた海域での作戦行動を余儀なくされるため、従来、安全保障を提供してきた意義が失われ、とくに西太平洋で危機が濃厚になる。
・中国は一基が1100万ドル(11億円)の「東風21D」を1227基ほど量産する計画だ!
・ゲームが変わった! 中国は「東風21D」の危険な挑戦を始めたが、アメリカは依然として空母優先思想に捕らわれ、従来的な軍事作戦の枠のなかでしか対応できないことは、なおさら危険である!








〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
アメリカは世界の警察官ではない」とオバマは公言
宮崎正弘  2014.07.23
ペンタゴンにも軍事力衰弱、中国の西太平洋支配を予測する悲観論が現れた
 戦争疲れと言える。あるいは国防予算が大幅に削減され、士気が弛緩している。 オバマ大統領は国防戦略にあまりにも無頓着で、シリア介入をためらい、ウクライナ問題では、口先介入と経済制裁で逃げ切る構え。「アメリカは世界の警察官ではない」とする発言は、真実みを日々濃厚にしてきた。
中国に対しての口先介入は、かなり激しい。
「現状の秩序破壊は許されない」「法の支配に随うべきだ」と国務長官、国防長官が声を荒げたが、中国の国防高官たちの口から出てくるのは「アメリカ、何するものぞ」と硬直的かつ勇ましい。畏れを知らない傍若無人ぶりである。
 ペンタゴンの作戦立案関係者が、いま最も憂慮する事態とは南シナ海のことより、尖閣諸島のことである。
 オバマ大統領は4月下旬の訪日時に「尖閣諸島日米安保条約の適用範囲だ」と明言したが、だからといって「断固守る」とは言わなかった。
  米海軍太平洋艦隊の情報主任であるジェイムズ・ファネルは「中国は迅速で鋭角的攻撃を準備している」とサンディエゴの海軍会議で発言したことは小誌でも紹介したが、これは尖閣諸島への中国軍の上陸を想定したもので、離島奪回作戦を日米が訓練しているのも、こうした背景がある。
 ともかく米軍が用意したシナリオが大幅に書き直されているようである。

▲「東方21D」という驚異的ミサイルの登場
  最大の脅威を米軍は、中国の謎の新兵器「東風21D」と見ている。
 まだ写真が公表されておらず、西側が正確に確認しているわけではないが、この「東風21D」は中国第二砲兵隊(戦略ミサイル軍)が2011年頃から配備につけており、トラック発車型の移動式。
 1500キロを飛翔する対空母破壊ミサイルである。米海軍戦争大学のアンドリュー・エリクソン提督は、このミサイルを「フランケンウエポン」と命名した。
東方21Dは海洋に向けての発射実験がされていないが、ゴビ砂漠で実験に成功したとされる。
 米空母に搭載されるF35新型ジェット戦闘機は航続距離が1100キロである。 空母は7万トンから10万トン、搭載機は70機から110機。乗組員は平均5000名で、空母の周囲を潜水艦、駆逐艦フリゲート艦、輸送艦が囲む一大艦隊を編成する。 F35はまだ実験段階である。
「これまで米空母艦隊で世界の安全を見張ってきた。いつでも紛争地域に派遣され作戦を展開できたのだが、こうした空母優位思想は、東風21Dミサイルの出現によって根底的な意義を失う」(TIME、2014年7月28日号)。
「空母を破壊もしく決定的な損傷をミサイルが与えるとすれば、米空母は中国から1500キロ離れた海域での作戦行動を余儀なくされるため、従来、安全保障を提供してきた意義が失われる。」
「とくに西太平洋で危機が濃厚になる」この議論はペンタゴンの奥の間で秘密裏に行われ、封印されてきた。
 すなわち米空母は中国から1500キロ離れた海域で作戦行動をとるが、F35が1100キロの航続距離となると南シナ海東シナ海の係争戦域には到達できないことになる。 日本の尖閣諸島が有事となっても米軍は空母の支援が出来ないことになる。
  費用対効果を比較すると、中国の「東風21D」は一基が1100万ドル(11億円)。これから1227基が量産されるという。
  米空母は最新鋭の「ジェラルド・フォード」が135億ドル(1兆5000億円)。
  1996年台湾危機のおり、米海軍は空母二隻を台湾海峡へ派遣した。 中国はミサイル発射実験による台湾恐喝をやめた。 空母を攻撃できるミサイルを中国軍は保有していなかった。

 トゥキディデスの罠とは、ペロポネソス戦争で急速に力をつけたアテネが、スパルタに立ち向かい周辺国を巻き込む大戦争となった故事から、たとえば日本へ大国の傲慢さで挑戦する中国が、この罠に嵌るとアメリカが巻き込まれるという逆転の発想、つまり悲観論につながる。
 そして「ゲームが変わった。中国は危険な挑戦を始めたが、アメリカは依然として空母優先思想に捕らわれ、従来的な軍事作戦の枠のなかでしか対応できないことは、なおさら危険である」(同TIME)