・なぜ中国人はドルを欲しがり、米ドルに依拠するのか?

・中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がった。
・2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた。
・邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。
・なぜ中国人はドルを欲しがり、米ドルに依拠するのか?








〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
中国から不正に海外へ流れたカネは3兆7900億ドル    
宮崎正弘  2014.10.16
■外貨準備高より多いカネが不正に海外へでた勘定になるのだが・・・。
 グローバル・ファイナンシャル・インテグリティ(GFI,ワシントンの国際金融監視シンクタンク)の調査に拠れば、中国から不正に海外へ持ち出された金額が精密に報告され、驚くべき巨額の事実が浮かび上がって。
 つい最近まで筆者は1兆800億ドルと、このGFIの数字を援用してきた(これは2002年か2011年の統計とされた)。
 ところが新しい報告では2000年から2011年までの統計で、実に3兆7900億ドルが不正に海外へ流れた(Illicit flow)。2005年から2011年の統計で2兆8300億ドルとなる新しい数字に上方修正された。
 どの期間の統計かによって、数字が異なるのは当然といえ、もし2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録。邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたる。
これは中国の金融が空洞化していることを示して余りある。

以下に掲げる「ワースト・ランキング」はGFIが集計した2002年から2011年の合算統計である。
1)中国      1兆800億ドル
2)ロシア      8809億ドル
3)メキシコ     4618
4)マレーシア    3704
5)インド      3431

桁違いの汚職天国、ロシアのそれも凄いが中国に比べたら何ほどのこともない。

筆者が思い当たるのは2005年頃から、中国のレストランや飲み屋で、カードは歓迎されず、人民元で支払おうとすると「ドルか円がないか?」と必ず聞かれた。人民元に自信を持っているはずなのに、なぜ外貨を欲しがるのか、理解に苦しんだが、そうか、闇ルートに流れていたのだ。

中国の為替管理が厳しかった1993年まで、外国人は人民元と直接交換ができず、「外貨兌換券」なる不思議な通貨と交換した。この闇ルートがあった。
  香港から中山か、あるいは深センに入ろうとすると、闇の「担ぎ屋」というおばさん達が必ずタバコを持ってくれないかと誘ってきた。物は試しと引き受けると一カートンにつき、香港ドル10ドルのお礼が相場だった。そして出口でまっている彼女らは「カンピーと交換してほしい」と手垢にまみれた人民元をだした。「カンビー」というのは香港ドルのことで「港幣」の中国語読みである。
  時代は激変し、香港では人民元歓迎。為替レートは香港ドルより人民元が強い。 昨今のドル高で、人民元は12円から18円に跳ね上がり、香港、マカオ、そしてタイの一部、ネパール、ラオスカンボジアで使える。
 またブルネイやモンゴルでも人民元は為替銀行や両替商にもちこめば、現地通貨と交換できる。 それほどアジア圏で人民元は強くなっているのである。
にもかかわらず、なぜ中国人はドルを欲しがり、米ドルに依拠するのか。(この項、つづく)