・IMFは「最近の世界の回復ペースは期待外れだ」と指摘。

・欧州経済の牽引(けんいん)役であるドイツが成長率予想を下方修正したほか、中国の9月の消費者物価指数(CPI)は4年8カ月ぶりの低水準になった。韓国も政策金利を過去最低水準に引き下げるなど景気の下支えに躍起だ。
・ドイツ経済の減速はデフレ懸念が強まる欧州経済の先行きに影を落とす。 財政規律を重視するドイツ政府は大型減税などの景気対策には消極的だが、国内外から財政出動を求める圧力が強まる公算は大きい。
・中国は住宅市況が悪化し、建設投資も悪化している。 幅広い業界の生産に影響が及んでおり、今年の経済成長率は昨年より低下するとの見方が強まっている。
IMFは「最近の世界の回復ペースは期待外れだ」と指摘。 経済の実力を示す潜在成長率が下がり低成長が長引くことが懸念され「見通しの下方リスクが高まっている」と警戒した。












〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
ドイツ、中国、韓国…世界経済減速    
古澤襄   2014.10.16
■日本の景気回復に懸念も
 世界経済の減速が鮮明になってきた。 欧州経済の牽引(けんいん)役であるドイツが成長率予想を下方修正したほか、中国の9月の消費者物価指数(CPI)は4年8カ月ぶりの低水準になった。韓国も政策金利を過去最低水準に引き下げるなど景気の下支えに躍起だ。
 消費税増税後の需要減が尾を引く日本にとって世界経済の不調は景気回復のさらなる重しとなりかねない。
 ドイツ政府は14日、2014年と15年の経済成長率見通しを従来の1.8%、2.0%から1.2%、1.3%にそれぞれ大きく引き下げた。 ウクライナや中東情勢の悪化、新興国経済の減速による輸出の落ち込みが原因だ。
 ドイツ経済の減速はデフレ懸念が強まる欧州経済の先行きに影を落とす。財政規律を重視するドイツ政府は大型減税などの景気対策には消極的だが、国内外から財政出動を求める圧力が強まる公算は大きい。
 欧州経済の不振は欧州を主要な輸出先とする中国経済にも打撃だ。
  中国国家統計局は15日、9月のCPIが前年同月比で1.6%上昇したと発表した。 経済の減速懸念が高まる中、消費が振るわず、上昇率はリーマン・ショックによる落ち込みの影響が残っていた10年1月以来の低水準となった。
  中国は住宅市況が悪化し、建設投資も悪化している。 幅広い業界の生産に影響が及んでおり、今年の経済成長率は昨年より低下するとの見方が強まっている。
 ただ、中国政府は経済の構造改革を優先するため、大規模な景気刺激策を打ち出すことには慎重な姿勢を崩していない。

  一方、韓国銀行(中央銀行)は15日、政策金利を0.25%引き下げ、年2.0%とした。 利下げは今年8月に0.25%引き下げて以来、2カ月ぶりで、即日実施した。
 世界的な金融危機を受けて09年2月に政策金利を引き下げた際の2.0%と並ぶ最低水準となった。 景気の下振れリスクが強まり、韓国政府が打ち出した景気浮揚策に足並みをそろえた形だ。

  国際通貨基金IMF)は今月7日発表した世界経済見通しで、14年の世界経済の成長率見通しを7月時点から0.1ポイント下方修正し3.3%とした。
 15年も3.8%に引き下げた。
 IMFは「最近の世界の回復ペースは期待外れだ」と指摘。 経済の実力を示す潜在成長率が下がり低成長が長引くことが懸念され「見通しの下方リスクが高まっている」と警戒した。

世界経済の先行きをめぐっては、今月予定される米国の量的金融緩和終了やエボラ出血熱の感染拡大の影響などの不安材料もある。
 日本は年末に消費税再増税の判断を控え、難しい政策運営が迫られそうだ。(産経)