・個別政策は力不足だ。各省庁から政策を寄せ集めただけでは過去の政権の失敗と同じ轍(てつ)を踏みかねない。

・企業の投資や人材育成などを促して生産性を高める。
・個別政策は力不足だ。各省庁から政策を寄せ集めただけでは過去の政権の失敗と同じ轍(てつ)を踏みかねない。
・聞こえのいい政策を並べて予算をつぎ込むばかりでは、とても持続的な成長など期待できまい。
・成長に伴う税収増に多くを期待するからには、これまで以上に成長戦略の実効性が求められる。それがなければ両立はあり得ない。








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2015.6.24 05:03更新  【主張】
新成長戦略 寄せ集めでは期待できぬ

 「岩盤規制」の打破を掲げ既得権益に切り込もうとした昨年と比べ、安倍晋三首相の覚悟が伝わってこない。これで、政権が目指す高い成長は本当に果たせるのか。
 政府が閣議決定を目指す新たな成長戦略の素案を示した。骨太方針とともに政権の経済運営の柱となる重要戦略だ。
 企業の投資や人材育成などを促して生産性を高める。それこそが、人口減時代に懸念される成長の限界を打ち破るカギだという問題意識は妥当である。
 だが、「生産性革命」「第4次産業革命」などと華々しい文言が並ぶ割に個別政策は力不足だ。首相の指導力というより、各省庁から政策を寄せ集めただけという印象が強い。これでは過去の政権の失敗と同じ轍(てつ)を踏みかねない。
 効果的に実施できるよう、迅速に具体化を図り、着実に成長につなげていくことが肝要だ。そのための実行力を示してほしい。
 素案は、ロボット開発やIT投資の促進、専門知識を持つ外国の人材活用などで生産性を高めることに主眼を置いた。投資を促すための官民対話も創設する。農業や医療・介護、観光分野などを地方の基幹産業とする「ローカルアベノミクス」も柱のひとつだ。
 規制緩和税制改正を通じた成長戦略は、成果を挙げるまで時間がかかる地道な積み重ねが求められることにも留意すべきだ。
 雇用の流動化など道半ばの改革はいまだに多い。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期妥結や、法人税の実効税率を20%台に引き下げる道筋の明確化などあらゆる手立てを講じ、0%台にすぎないといわれる潜在的な成長力を高めなければならない。

 今回の成長戦略では、アベノミクスが「第2ステージ」に入ったとの認識を示した。企業収益や所得・雇用環境の改善で経済の好循環が進んでいるためだという。
 ただ、構造改革の手綱を緩めることは許されない。聞こえのいい政策を並べて予算をつぎ込むばかりでは、とても持続的な成長など期待できまい。
 注意したいのは、財政再建との両立である。骨太方針に盛り込む財政健全化計画は名目3%以上の高い成長が前提だ。成長に伴う税収増に多くを期待するからには、これまで以上に成長戦略の実効性が求められよう。それがなければ両立はあり得ない。