・「三角地帯」、つまり北朝鮮とロシアと中国との国境地帯で工業団地がたちならぶ場所とは言え、この3国の辺境では?怖い!

吉林省延辺自治区の中心都市、延吉で自動車工場を視察し、半分しか操業していないことに愕然とした。
・農業いがいこれという産業のない東北からは、若者の流失が顕著で、人口減という中国では珍しい現象を呈している。
・中国中央政府は、東北三省の農業生産を重視したものの、辺疆貿易にはあまり関心がなかった。
プーチンはシベリア極東開発に異様な関心を寄せており、ウラジオストックにAPECを誘致したうえ、自動車産業を育成してきた。
・軍春は中国が高らかに進める「一帯一路」(シルクロード構想)では、その出発点の一つと位置づけられた経緯もある。
・「三角地帯」、つまり北朝鮮とロシアと中国との国境地帯で工業団地がたちならぶ場所とは言え、この3国の辺境では?怖い!








〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
習近平が突如、北朝鮮国境の街、延吉、図門、軍春に出現   
宮崎正広   2015.07.19
■表向きの理由は東北三省の経済不況視察だったが・・・
 習近平が総書記に就任以来、はじめて吉林省北朝鮮国境にある延辺朝鮮族自治区の中心土地、延吉に飛んだ。4月16日である。
  同自治区一帯に住む朝鮮族は210万人といわれ、また脱北者の拠点でもある。
東北三省視察が表向きの目的で理由は全省のなかでもGDP成長が極端に悪い、遼寧省吉林省黒竜江省を視察することによって、いったい何が原因で経済発展から阻害されたのか、いかような対策が立てられるか現場の声を聞こうとするものだ。
  現実に三月の全人代習近平は東北三省の代表団に向かって発破をかけている。
  公式GDP統計(2014年度)でも遼寧省GDP成長は5・6%,吉林省は6・5%,黒竜江省は5・8%となっており、遼寧省の工業生産はマイナス4・5%である。
 農業いがいこれという産業のない東北からは、若者の流失が顕著で、人口減という中国では珍しい現象を呈している。
 しかし習近平吉林省延辺自治区の中心都市、延吉で自動車工場を視察し、半分しか操業していないことに愕然としたらしい。
 つぎに和龍市光東村(延吉から南西へ50キロ)という典型の朝鮮族集落を訪問し、そこからUターンして北朝鮮との国境の街、図門に向かった。
  図門は目の前の図門江を挟んで対岸は北朝鮮である。貿易特区構想があり、72時間以内の滞在はヴィザ免除措置がとられている。
 つぎに習近平は急ぎ足で軍春へ駆けつけ、いわゆる「三角地帯」、つまり北朝鮮とロシアとの国境地帯で工業団地がたちならぶ場所の視察を行った。
▲一時期、日本の日本海沿岸諸都市は『日本海経済圏』構想に熱中した
 遠い昔になったが、この三角地帯の団地で生産される物品は貨車でロシアのポシェット港へ運ばれ、日本海を越えて、輸出されるという「日本海経済圏」プロジェクトの目玉でもあった。
  一時期、日本の日本海沿岸諸都市、新潟、富山、金沢などの実業界は『日本海経済圏』構想に熱中したこともあった。
  掛け声高く、しかし鉄道の開通は遅れ、進出企業が少なく(筆者が十数年前に取材したとき、日本企業の進出は僅か2社だった)、プロジェクトは半ば頓挫していた。
  中国中央政府は、東北三省の農業生産を重視したものの、辺疆貿易にはあまり関心がなかった。
 俄然、習近平が視察する気になった動機は五月のモスクワ訪問である。
  5月8日から10日の訪問で、習近平プーチンと会談し、日本海沿岸からシベリアにかけての経済開発、共同作業が語られた。
 プーチンはシベリア極東開発に異様な関心を寄せており、ウラジオストックにAPECを誘致したうえ、自動車産業を育成してきた。
  習近平にとって、これは宿題ともなったらしい。
 また軍春は中国が高らかに進める「一帯一路」(シルクロード構想)では、その出発点の一つと位置づけられた経緯もあるからだ。
 こうみてくると、今回の北朝鮮国境視察は北朝鮮への政治的牽制でもあり、金正恩への冷遇には変化がないようだ。(註 図門の「門」はにんべん、軍春の「軍」は王扁)