・国際社会では国家は国際法に基づいて行動するから、各国とも憲法にわざわざ集団的自衛権の行使など明記していない。 これは常識で当然だ!

・最大の原因は、反対派による戦争法案などといったデマの浸透とマスメディアによる偏向報道だ!  野党、メディアの責任は大きい。
・「集団的自衛権の行使がなぜ可能か」「今、なぜ急ぎ法案を成立させる必要があるか」の政府の説明が下手すぎるのも原因。
・国際社会においては憲法より国際法が優先することを明確にすべきだった。
・国際社会では国家は国際法に基づいて行動するから、各国とも憲法にわざわざ集団的自衛権の行使など明記していない。 これは常識で当然だ!
・個別的自衛権はあくまで武力攻撃を受けた国が反撃する権利であり、他国が攻撃された場合の反撃は定義上、個別的自衛権に当たらない。
・米艦防護をめぐる問題は、1998年のテポドン騒動の時に、実際に起こった。
・実際に米軍から上空警戒の要請があったこの時は、集団的自衛権の行使に当たらないか問題となり、自衛隊は何もできなかったのだ!
・「南・東シナ海における中国の軍事的脅威の増大」「朝鮮半島における緊迫状態はいつ暴発するか分からない」
・中国&朝鮮半島の現状は、集団的自衛権の容認が急がれる所以(ゆえん)だ!







〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.8.28 05:02更新 【正論】
国際法の常識に立つ安保論議を 日本大学教授・百地章

 安保関連法案は現在、参議院で審議中だが、法案への理解が中々深まらない。最大の原因は、反対派による戦争法案などといったデマの浸透とマスメディアによる偏向報道であるが、政府側にも一端の責任があろう。一つは「集団的自衛権の行使がなぜ可能か」の説明が分かりにくいこと、それと「今、なぜ急ぎ法案を成立させる必要があるか」の説明が十分でないからだと思われる。
≪国際社会と乖離する日本≫
 もっとも後者は、参議院に入り安倍晋三首相や閣僚から何度も「南・東シナ海における中国の軍事的脅威の増大」が語られるようになり、徐々に国民の理解は得られつつあるのではないか。朝鮮半島における先日の緊迫状態も国民の意識を喚起したことだろう。
 しかし前者は「木を見て森を見ず」のたとえを用いるならば、これまで「木」の説明に重点が置かれ「森」つまり全体像が十分に描けなかったからではないか。
 端的に言えば、憲法論議が先行し、国際法からの説明が不十分だったからだと思われる。つまり、集団的自衛権はすべての主権国家に認められた国際法上の「固有の権利」であり、わが国も当然、行使が認められる、という話から進めるべきではなかったか。
 この点について、国際法学者の村瀬信也上智大学名誉教授は、次のように述べている。「我が国における安全保障論議で最も深刻な問題と思われるのは、それが国際法の常識と余りにも大きく乖離(かいり)していることである。…しかるに我が国では、それらを正確に踏まえた上での議論が殆(ほとん)ど行われてこなかった」(「安全保障に関する国際法と日本法」)
 もう一つは、国内と違って、国際社会においては憲法より国際法が優先することを明確にすべきであった。国内においては条約よりも憲法が優位するとするのが通説だが、国際社会では国家は国際法に基づいて行動する。だから、各国とも憲法にわざわざ集団的自衛権の行使など明記していない。

集団的自衛権で解決する問題≫
 集団的自衛権とは海外で一緒に戦争をすること、などといった乱暴な説明をする学者もいる。しかし集団的自衛権の中には、同盟国軍への基地の提供、情報交換、同盟国艦艇の警護、機雷の除去などさまざまなものが含まれる。
 しかも、政府が認めたのはあくまで「集団的自衛権の限定的行使」であって、わが国の存立が脅かされ国民の権利が根底から履させられる場合に限られる。
 だから、アメリカに従って地球の裏側まで戦争に行くことなどありえない。逆に、集団的自衛権を認めることでさまざまな問題が解決する。その1つが、自衛隊と米軍との間の情報交換である。
 例えば、北朝鮮が国境を越えて韓国に攻め込んだ場合、アメリカは米韓相互防衛条約に基づき朝鮮半島に部隊を展開するだろう。しかし、日本は攻撃されていないから、わが国は個別的自衛権の行使ができず、アメリカの武力行使に直結するような情報を米軍に提供することも集団的自衛権の行使に当たり許されない、というのが従来の政府解釈であった。
 自衛隊朝鮮半島の動向について優れた情報収集能力を持っている。にもかかわらず、いざ有事となったら、日本が入手した情報を米軍に提供することはできないというわけである(香田洋二『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』)。これが可能となる。
 もう一つの例をあげれば、日本海の公海上で米艦が北朝鮮弾道ミサイルを警戒中、もし米艦が国籍不明の潜水艦によって攻撃されたら、米艦を防護中の海上自衛隊艦船は反撃できるか。

≪個別的自衛権の拡大解釈は危険≫
 米艦防護をめぐる問題は、1998年のテポドン騒動の時に、実際に起こったという(織田邦男「一銭も使わずに日本の防衛力を大幅増強する方法」JBPRESS)。
 イージス艦弾道ミサイルの方向にレーダーを切り替えると、接近する航空機を発見する能力が低下する。  そのため戦闘機を飛ばしてイージス艦上空を警戒し、援護することが必要となる。
 ところが、実際に米軍から上空警戒の要請があったこの時は、集団的自衛権の行使に当たらないか問題となり、自衛隊は何もできなかった。
 しかし、集団的自衛権の行使が認められれば、こういった問題は解決する。
 これに対し本件のような事例では、日本本土防衛のためだから個別的自衛権の行使で足りる、とする説もある。
 しかし個別的自衛権はあくまで武力攻撃を受けた国が反撃する権利であり、他国が攻撃された場合の反撃は定義上、個別的自衛権に当たらない。

 しかも、その措置は「直ちに」国連の安全保障理事会に報告しなければならないが、国連がそれを承認するはずがない。
 つまり、わが国に対して直接の攻撃がないにもかかわらず、個別的自衛権を拡大して解釈することは、国際的にも到底受けいれられず、諸外国から警戒されるだけだろう。
 集団的自衛権の容認が急がれる所以(ゆえん)だ。(ももち あきら)