従来の壁を打ち破るコスト削減、業務改革や需要創造に取り組むことが不可欠

・「時には収益よりキャッシュを優先するくらいの気持ちで…」
・エレベーターを間引き運転したり、新聞・雑誌の購読を停止したりと、“爪に火を灯す節約”が実行されている。
・「キャッシュを守りつつ収益を上げる。時には収益よりキャッシュを優先するくらいの気持ちで全社を挙げて取り組んでいたたきたい」
・「不要不急の支出凍結や抜本的な投資の見直しで業務を円滑に進めにくい状況も生じていると思うが、この難局を乗り切るためには、従来の壁を打ち破るコスト削減、業務改革や需要創造に取り組むことが不可欠」
・「復調に向けた兆しとなる“点”は見え始めている。これらをいかに“面”にしていくかが勝負だ」
・「まさに踏ん張りどころ。これまで数年間で取り組んできたことが実を結ぶかどうかが決まる」
・「いつまで、どこまで我慢したらいいのか」
・「事業ごとの構造改革の段階は過ぎ、いよいよ本土決戦に入ったのか」






〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.12.7 15:00更新   【経済裏読み】
“爪に火を灯す”シャープ社員 「収益よりキャッシュ優先」社長が異例発言 エレベーター間引き、新聞も購読停止…
シャープの高橋興三社長

 経営再建中のシャープが手元の資金確保に躍起だ。高橋興三社長は10月末の社内メッセージで、キャッシュを守りつつ収益を上げることを求め、「時には収益よりキャッシュを優先するくらいの気持ちで…」とまで言い切った。本社などでエレベーターを間引き運転したり、新聞・雑誌の購読を停止したりと、“爪に火を灯す節約”が実行されているという。同社は「資金ショートなどの状況ではない」と説明するが、社長の異例の呼びかけから今の苦境が浮き彫りになる。(松岡達郎)
 相次ぐメッセージ
 「事業活動の前提となるキャッシュについても、しっかりと確保していく必要がある」
 10月30日、高橋社長は社内に「この危機を乗り越える」と題して発出したメッセージでこう呼びかけた。
 平成27年9月中間連結決算の発表に合わせたメッセージで、営業損益が251億円の赤字(前年同期は292億円の黒字)に落ち込んだことから「10月1日から社内カンパニー制の下で新たな一歩を踏み出したところで非常に厳しい結果。大変厳しく受け止め、悔しい気持ちでいっぱい」と語った。
 そして、その上で「キャッシュを守りつつ収益を上げる。時には収益よりキャッシュを優先するくらいの気持ちで全社を挙げて取り組んでいたたきたい」と訴えたという。
 それに先立つ10月26日、業績の下方修正を発表した際にも高橋社長は社内メッセージを出している。そこでは「不要不急の支出凍結や抜本的な投資の見直しで業務を円滑に進めにくい状況も生じていると思うが、この難局を乗り切るためには、従来の壁を打ち破るコスト削減、業務改革や需要創造に取り組むことが不可欠」と呼びかけていた。
下方修正では、28年3月期の業績予想を5月時点に800億円と見込んでいた営業利益を100億円に引き下げている。高橋社長が7月31日に「数字は死守する」と宣言してわずか約3カ月で、中期経営計画の初年度の業績目標をあっさり下げるだけに危機感は深刻だ。
 手元資金の目減り
 シャープが不要不急の支出の凍結に躍起になるのは当面の手元資金の確保が課題になっているからだ。銀行からの借り入れや公募増資で度重なる経営危機を乗り切ってきたが、ここにきて営業赤字の積み重ねが手元資金を目減りさせている。
 本社や隣接ビル、工場の遊休地などの資産の売却を急いでいるが、不動産に設定されている抵当権を抹消するため銀行などに借金を返済する必要がある。このため資産売却で入った資金はシャープに残らないことになっている。
 それどころか売却した本社は、移転先が見つかるまでは賃料を払って入居するためシャープの資金繰りは苦しくなってくる。
 主力の液晶事業も売却や資本受け入れに向け複数社と交渉している。不振の液晶事業がいくらで売れるかは、売却先の出資比率などにもよるが、借金をどれくらい差し引くかなど交渉次第で、どれくらいの現金が入ってくるかは不透明だ。
 本土決戦か
 「事業ごとの構造改革の段階は過ぎ、いよいよ本土決戦に入ったのか」
 客が逃げてもいいから支出を避けろというのに等しい社長の異例のメッセージに、社内にはこんな声が上がっている。
 関係者によると、すでに電気代の節約などのためエレベーターも間引き運転されており、広報課以外の新聞・雑誌類の購読を中止しているという。このため社内には沈滞ムードが漂う。
 10月26日の社内メッセージでは、液晶テレビが4Kモデルで国内シェア上位を獲得し、薄型の空気清浄機は新たな需要を喚起する商品として好評で、しかもロボット型携帯電話「ロボホン」などは非常に注目が集まったと指摘。その上で高橋社長は「復調に向けた兆しとなる“点”は見え始めている。これらをいかに“面”にしていくかが勝負だ」と強調した。
 10月30日の社内メッセージでも「まさに踏ん張りどころ。これまで数年間で取り組んできたことが実を結ぶかどうかが決まる」ともアピールした。
 ただ、「いつまで、どこまで我慢したらいいのか」と、社員には先の見えない状況に疲弊が目立ってきている。