「日本年金機構」は早くも混乱しているが、高給をとっている以上、しっかり作業をしてほしい!

・三条 健です。
社会保険庁の後継組織として2010年1月4日に発足した「日本年金機構」は、順調に進んでいるのかと思っていたが、どうもそうでは無く、混乱があるようだ。
① 年金記録回復のペースがダウン
② 持ち主が分からない「宙に浮いた記録」5095万件のうち、未解明や解明作業中の記録は6月時点においてまだ2063万件もある。

・紙台帳とオンラインの照合は、機構は新システムも稼働させ、9月以降、全国29カ所の拠点で作業を始める方針としているが、全件照合の入札を巡る情報漏えいの問題が発生した。「旧社保庁のなれ合い体質が変わっていないことが明らかになった影響を払しょくしないと、新年金制度につながる国民の信頼回復もおぼつかない」と年金記録回復委員会委員の一人は指摘している。

・腐った旧社保庁を 溌剌とした新たな機構に立て直せるかが課題だ!
マニフェストでは、2011年度までに解決するとしているが、高給をとっている以上しっかり見合った作業をしてもらいたい。


〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

クローズアップ2010:年金機構、続く混乱 発足から半年

日本年金機構の発足式であいさつする長妻昭厚労相=東京都杉並区の同機構本部で2010年1月4日午前8時19分、馬場理沙撮影 相次ぐ不祥事で廃止された社会保険庁の後継組織・日本年金機構(紀陸孝理事長)が発足してから7月1日で半年。全国312の年金事務所の一部では業務改善の取り組みも始まっているが、年金記録回復のペースがダウンするなど混乱も続く。9月からは年金記録問題解決の切り札とされる紙台帳とオンライン記録5億4000万件の全件照合が始まるが、年金への信頼を回復することはできるのか。【野倉恵】

◇進まぬ記録回復、入札情報漏れ…ベテラン大量退職響く
 6月26日、東京都杉並区の機構本部で開かれた「サービスコンテスト」。機構主催の「業務改善競争」で選ばれた10事務所の所長らが、取り組みを熱く語った。「被保険者の(処理途中の)情報を鍵付き保管庫にしまうようにしました」。佐賀年金事務所の副所長が取り組みを紹介すると、長妻昭厚生労働相がマイクをつかんだ。「いい取り組みですが、他の事務所はどうか心配になる」。機構幹部は「個人情報が職員の机の上に置かれたままの事務所もあるようだ」と認めざるを得なかった。

 「案内表示を見やすくした」「窓口で待たせたら申し訳ありませんと言う」。紹介事例には「まだやっていなかったのかと怒りももたれかねない」(長妻厚労相)事項も目立った。

 肝心の年金記録問題解決も道のりは遠い。記録が訂正されて年金額が増えた件数は、昨年11月第2週以後は毎週1万件以上あったが、機構が発足した1月には5000件台に半減。その後も5月末まで、ほぼ7000件台で推移している。

 関東地方の80代女性は07年末に届いた「ねんきん特別便」で、50年代に勤めていた会社の厚生年金記録などが10年分以上、年金額に反映されていないことに気づいた。社会保険事務所に何度も足を運んだが、「記録はない」と言われ、1年後に社会保険労務士を通して再び照会。名前の1字が違っていたために宙に浮いていた記録が見つかった。月額約5万円が増額され、未払い分として1000万円以上受け取れることがわかった。

 昨秋の記録訂正まで2年近くかかり、機構移行後の今年3月にやっと直近5年分の未払い年金300万円が振り込まれた。しかし、残額については、「初回支払いから2〜3カ月程度お待ちください」との通知が送られてきたものの、6月になっても振り込まれない。年金事務所に電話すると「半年か1年かめどが立たない。機構本部にそう聞きました」と言われた。女性は「生きている間に支払われるのか」と訴えた。

 こうした状況になった原因については「ベテランの抜けた穴」(首都圏の事務所幹部)を指摘する声が多い。機構の正規職員約1万人の多くは社保庁からの移行組。記録のぞき見などによる懲戒処分歴のある500人以上は世論に配慮して採用しなかったが、自主退職した職員も多数に上り、機構移行前に業務に精通した人材を十分に確保できなかった。機構幹部も「記録問題に精通したベテランがその中に相当数いた」と影響を認める。

◇全件照合、遅れる恐れ 人手不足に加え再入札も
 年金機構について民主党は昨年の衆院選の政策集で、社保庁を機構に移行させると年金記録問題がうやむやになる可能性があるとして、「社保庁国税庁と統合し、歳入庁とする」とした。だが、昨秋の政権交代時点で民間人1000人が機構職員に内定していたことなどから、歳入庁を設けるまでの“つなぎ”として予定通り今年1月に発足。「失敗は許されない」(長妻厚労相)組織としてスタートした。

 民主党参院選マニフェストで、年金記録問題の解決に11年度までの2年間で集中的に取り組むとした。「国民の大方の納得が得られる」(長妻厚労相)線を目指す。並行して新年金制度も議論し、13年度内に年金改革法案を成立させる方向だ。現在の混乱を移行期の一時的なものとして、公約を達成できるのか。

 機構は51事務所長に民間出身者を登用。大手スーパーの現場管理職経験者もおり、小回りのきく地方事務所では変化の兆しも出始めている。しかし、本部のベテラン職員の一人は「問題解決は簡単ではない」とみる。人員不足のため4月に正・准職員計2200人を公募し、これまでに1220人を採用したが、6月時点でも定員(2万6000人)に約1000人足りない状況が続く。

 機構の窓口では、段階的に緩和してきた記録回復の基準に基づき、回復を進めている。だが、持ち主が分からない「宙に浮いた記録」5095万件のうち、未解明や解明作業中の記録は6月時点で2063万件もある。

 解決の切り札とされる紙台帳とオンラインの照合では、機構は新システムも稼働させ、9月以降、全国29カ所の拠点で作業を始める方針。しかし、想定外の不祥事に見舞われた。全件照合の入札を巡る情報漏えいだ。事業工程の進ちょく管理にもかかわる記録問題対策部の職員が、入札参加業者に勤める旧社保庁OBに業務仕様書案や予算額などを漏らしていたことが発覚した。入り口で再入札や職員の刑事告発を検討せざるを得ない事態になっている。

 機構幹部は「9月に照合を予定通り始めるのは変わらず、再入札などの結論も間に合うように出す」と説明する。長妻厚労相も予定通り実施するとの姿勢を崩していない。ただ、厚労相直属の年金記録回復委員会委員の一人は「再入札になれば作業が遅れる恐れもある。それより旧社保庁のなれ合い体質が変わっていないことが明らかになった影響を払しょくしないと、新年金制度につながる国民の信頼回復もおぼつかない」と指摘している。

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■「業務改善競争」で各事務所が発表した改善例

 ◆改善例

高齢者の多い国民年金の窓口を2階から1階にした。(宮城・古川)

 ◇長妻厚労相らの評価
「なぜ今まで変えなかったのか」(年金記録回復委員)

 ◆改善例

空いた窓口に職員をきちんといれるようにした。案内表示を目立つよう見やすくした。(埼玉・川越)

 ◇長妻厚労相らの評価
「今まで自発的にやらなかったのは怠惰だった」(厚労相

「(それ以前に)『適用調査課』など課の名前が一般の人に難しい」(年金記録回復委員)

 ◆改善例

職員が帰宅前、施錠できる棚に個人情報資料をしまうようにした。(佐賀)

 ◇長妻厚労相らの評価
「ルールはこれまでなかったのか」(厚労相

 ◆改善例

迅速に対応するため、パソコンに過去の相談内容も表示できるようにした。(熊本・本渡)

長妻厚労相らの評価
「ブロック本部や機構はすぐ広めるべきだ」(年金記録回復委員)

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毎日新聞 2010年7月1日 東京朝刊