アジア情勢の変化は激しい。 対応を誤ってはならない!

・三条 健です。
・「民主党が政権を取ってから、ここに至るまで、日本の国策、特に外交安保政策について、どれだけの時間を空費してきたか?   何はともあれ、早く仕事に取りかかってほしい。」が率直な国民の意見を代弁している。
思いやり予算を含む防衛費の充実、集団的自衛権の行使など、同盟関係強化の懸案が山積している。防衛計画の大綱も放置されたままである。
アメリカで発表された防衛関係の公式文書から、過去数十年間、日本についての決まり文句だった東アジアの礎石という言葉が消えた。鳩山由紀夫は、マイナスの実績が多い。
アジア情勢の変化は激しい。 対応を誤ってはならない!



〜〜〜メディア報道の一部<参考>〜〜〜

【正論】元駐タイ大使・岡崎久彦 菅氏、これ以上時間空費するな
2010.9.17 03:26

 やっと2カ月かかって、菅直人首相の続投が決まった。何はともあれ、早く仕事に取りかかってほしい。

 民主党が政権を取ってから、ここに至るまで、日本の国策、特に外交安保政策について、どれだけの時間を空費してきたかを考えると、空恐ろしいほどである。その間、空費した政府の経費こそ事業仕分けをしたいぐらいである。

 普天間問題は結局は自民党時代の路線に戻った。それだけでも時間と労力の恐るべき空費であったが、その過程で、以前よりも問題解決を困難にさせてしまった。

 その上に、日本の国際的立場に長く残る打撃を与えた。今年の前半アメリカで発表された防衛関係の公式文書から、過去数十年間、日本についての決まり文句だった東アジアの礎石という言葉が消えた。いったん消えた言葉が復活するには何年もかかろう。あるいはもう復活しないかもしれない。

≪米国の対中認識の変化、重大≫
 国際情勢は決して止まっていない。この1年間で情勢は大きく変わっている。何が一番、大きく変わったかといえば、中国の軍事力の飛躍的増大であり、それよりもっと重大なのは中国の脅威に対するアメリカの認識の変化である。

 もっとも、それには短期的要因もある。
オバマ大統領は、昨年11月の初訪中に備えて、台湾への武器売却とか、チベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世との面会とか、人権問題批判とか、中国を刺激するようなことを全部先送りした。しかし、これはいずれはしなければならないことであり、今年になってそれを次々に解禁するにつれて、中国が、−私の意見では不必要に強く−反発し、米中関係は悪化した。

 それは一時的現象かもしれないが、その間のオバマ政権の宥和(ゆうわ)姿勢が中国国内のタカ派ハト派の力のバランスに永続的な影響を与えたかもしれない。いずれにしても中国の軍備増強は長期的継続的なものであり、今後、対中警戒感が高まることは不可避であろう。

≪東アジア正面の問題に応えよ≫
 対策は当然に米国自身の軍備増強か同盟国への期待となるが、米国は、税収不足とアフガン戦費、医療保険費などの負担で財政に余裕がないことも明らかになってきた。こうなると、当然に同盟国への要求が強くなる。現にグレグソン国防次官補は議会証言で日本の防衛費の増額、特に思いやり予算の維持の必要を強調している。

 こんなことは初めてではない。1980年代初頭、ソ連の急速な軍備増強を前に米国が同盟諸国に軍備増強を呼び掛け、各国がこぞって協力し、結果として冷戦を勝利に導いた例はある。ただ、あの時の問題は北大西洋条約機構NATO)正面だった。現在は東アジア正面であり、その呼びかけに応えなければならないのは、どの国よりも日本である。

 菅政権の前には、思いやり予算を含む防衛費の充実、集団的自衛権の行使など、同盟関係強化の懸案が山積している。防衛計画の大綱も放置されたままである。

 アジア情勢も大きく変わった。何より大きいのは、クリントン国務長官アメリカのアジア復帰を唱え、東南アジア諸国連合ASEAN)との関係強化に踏み出したことである。ASEANはもともと日本の金城湯池だ。中国、韓国なども、日本が好意的に口を利いてASEAN地域フォーラム(ARF)などに参加させた。

 鳩山前政権が発足当初、東アジア共同体を標榜(ひょうぼう)し、岡田外相がアメリカを入れないと発言したころは、日本はそうした発言力があるという前提だったのであろう。

≪リベラルらしい対米協力も≫
 だが、南シナ海での中国の領有主張に敢然と反対したクリントン発言以来ASEAN諸国にとりアメリカだけが頼りである。日本には誰も期待していない。そのアメリカはASEAN首脳会議の際の関連会合に出席の意向を表明、ジャカルタに駐ASEAN大使の任命も考えている。ASEANは米国主導となるかもしれない。

 アメリカは日本を入れる入れないというようなケチなことは言わないであろうが、日本としては、鳩山政権時代の経緯を離れて全面的に協力すべきものと思う。それは、尖閣問題を考えても、日本自身の問題でさえある。

 たまたま、鳩山時代に任命した安保防衛懇の報告も出ている。民主党政権下初の自前の懇談会の報告だから、当然それを尊重すべきだ。民主党の特色を出したいのなら、自民党時代手をつけなかった武器輸出三原則の見直しから始めても、同盟強化の一助となる。

 もうリベラル、全共闘浮かれは1年間でおしまいにして、日本国民の安全、日米同盟の強化の初心に戻って取り組んでほしい。

 サッチャー−メージャー両英保守党政権の後を継いだブレア労働党政権は「倫理観」の旗の下、イラク戦争で対米軍事協力して米英関係を不動にし、国益を守った。「自由の価値観」の下の日米同盟強化ならリベラルらしいではないか。これ以上、時間を無駄にせず前向きの方向で邁進(まいしん)してほしい。(おかざき ひさひこ)