・ロシア政府と対等の外交交渉を実施できる政治家が今の日本にいないと言われているのは残念だ!

・「日本には、北方領土返還交渉のための計画も、計画をより積極的に最後までやり遂げる指導者も欠けている」
・、「日本には政府に領土問題の賢い解決方法を提案できるような分析センターが少ない」
・ロシア政府と対等の外交交渉を実施できる政治家が今の日本にいないと言われているのは残念だ!

〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
択捉島の空港、港湾施設のインフラ整備強化へ 
古沢襄
2011.05.15

 イワノフ副首相らロシア政府代表団が15日、北方領土択捉島を訪れた。軍部による「第18機関銃・砲兵師団」の装備強化と平行して、択捉島の空港、港湾施設のインフラ整備を強化しようとしている。択捉島では新空港の建設がすでに進められているという。明らかに択捉島国後島の返還の意志がないことを、行動で示したといえる。 
 このようなロシア側の態度は「島の返還ないしは引渡しについて今語っても意味がない。ロシアの内政的見地から言えばこれは全く不可能なことだからだ。誰もこれを支持しようとはしないだろう(THE VOICE OF RUSSIA)」ことに要約される。
 しかし、その一方で「60年代当時のソ連指導者フルシチョフは日本に二島返還を行うつもりだった。しかしこれも、在日米軍基地を撤廃することが条件だった。しかし日本は安保条約を延長し、基地はそのまま残った。だからロシアとしては、返還の義務はないものと考えている」という。かなりややっこしい理屈なのだが、歯舞・色丹二島返還の余地を残していると言いたいのであろう。
 「THE VOICE OF RUSSIA」の記事は、ロシア政府の意向を反映している。  この記事の中で「メドヴェージェフ大統領がクリル諸島において露日共同の経済プロジェクトの拡大を提唱したことは記憶に新しい。 大統領は、クリル諸島経済特区を作り、日本人も自由に訪問し、就労し、歴史の縁の深い場所を訪れることのできるようにする提案を行っている」と述べた。
 軍事力を強化しながら、クリル諸島において露日共同の経済プロジェクトを提案する・・・ロシアは強かな曲せ球を投げている。こちらも負けずに曲せ球か直球を投げないと、対等の外交交渉にならない。国内でワンワン、キャンキャン吠えているだけでは、何の力にもならない。

 <【モスクワ時事】ロシアのイワノフ副首相ら政府代表団は15日、北方領土択捉島を訪れた。東日本大震災後、ロシア政府要人による北方領土訪問は初めて。インタファクス通信が伝えた。

 空港や港湾などのインフラ施設を視察し、「クリール(千島)諸島社会・経済発展計画」(2007〜15年)の進捗(しんちょく)状況を点検するのが目的。  代表団にはナビウリナ経済発展相、レビチン運輸相、トルトネフ天然資源相、バサルギン地域発展相らが加わっている。
 イワノフ副首相は択捉島で開かれた会合で、北方領土のインフラ整備は不十分との認識を示し、「空港や道路が整備されるまで、いかなる発展もあり得ない」と指摘。また、「発展計画に振り向けられる予算は極めて少ない。限られた資金を迅速かつ効果的に使う必要がある」と語った。 択捉島では新空港の建設が進められている。 
 一方、タス通信によると、トルトネフ天然資源相は14日、サハリン州政府機関に対し、北方領土での金や希少金属レニウムの探鉱・開発計画を策定するよう指示した。
 石油化学産業の触媒や宇宙開発で使われる戦略物質のレニウムは、択捉島のクドリャブイ火山に鉱脈があることが知られている。(時事)>

 <内部告発サイトのウィキリークスは米国務省と在日米大使館との間に交わされた北方領土問題に関する機密資料をリークした。

 09年の公用文書に書かれた「日本には、北方領土返還交渉のための計画も、計画をより積極的に最後までやり遂げる指導者も欠けている」という指摘は、当時の麻生内閣に信頼できる助言者がほとんどいなかったことをさしている。またこのほかにも、「日本には政府に領土問題の賢い解決方法を提案できるような分析センターが少ない」ことも指摘されていた。
 日本側には四島を要求する権利があることを実証するのが難しいという原因があったとも言える。ロシアはこの問題をずっと簡単に見ている。ロシア戦略評価研究所のアレクサンドル・コノヴァロフ所長は、形式主義がなければ、領土問題をめぐる論争もなかったはずだという見方をしている。
 「第2次大戦後の歴史的な時期だけを見れば、クリル諸島ソ連に属していなければならなかった。しかしながら、ソ連は条約への署名を拒否した。なぜならば、日本に米軍基地が残り続けることに賛成できないからだ。もしソ連が条約に署名を行っていれば、この問題はおきなかっただろう。
 しかし過ぎた事は事実であり仕方ない。60年代当時のソ連指導者フルシチョフは日本に二島返還を行うつもりだった。しかしこれも、在日米軍基地を撤廃することが条件だった。  しかし日本は安保条約を延長し、基地はそのまま残った。だからロシアとしては、返還の義務はないものと考えている」

 ロシア側は常に妥協の余地はないものか探っている。10年末12月、メドヴェージェフ大統領がクリル諸島において露日共同の経済プロジェクトの拡大を提唱したことは記憶に新しい。大統領は、クリル諸島経済特区を作り、日本人も自由に訪問し、就労し、歴史の縁の深い場所を訪れることのできるようにする提案を行っている。
 ところが日本側はこれを非常に否定的に捉え退けた。日本側がこうした態度をとる以上、領土問題は前に進まない。それでもコノヴァロフ所長は、これを政治の舞台から経済へ移動させれば、近い将来にも解決は可能だとして、さらにこう語る。

 「島の返還ないしは引渡しについて今語っても意味がない。ロシアの内政的見地から言えばこれは全く不可能なことだからだ。 誰もこれを支持しようとはしないだろう。もし第2次大戦の結果の見直しを提案すれば、その者は政治生命を逸することになるからだ。  日本でも同じ状況がある。
 このことから、この政治問題の解決は次世代に託すほうがいいと私は考える。しかしながら島の引渡しに主眼を置かなければ、この地域の共同開発を語ることはできるし、ビザ制度の緩和ないし廃止を考えることもできる。諸島の共同開発は十分に実現可能な課題だ」

 この地域の開発については、ロシアはこれに関心を持つあらゆる方面に呼びかけを行い、それに中国、韓国の企業が反応を示している。日本の実業界もこの機会を活かさねば、より積極的なロシア近隣諸国が日本のポジションを狭めることになってしまう。(THE VOICE OF RUSSIA)>