・野田政権よ、国家公務員の給与削減、国会議員定数の見直しなど徹底した歳出削減なしに、国債頼みの予算編成はすでに限界を超えている!

・体裁を取り繕うだけの予算編成では財政規律を失わせ、今後の財政再建にも悪影響を与える。
・歳入に占める借金の割合を示す国債依存度は、49%と2011年度を上回って過去最悪を更新した。  2012年度末には国債の発行残高だけで709兆円に達する。
・実質的に過去最大となった歳出規模からは、悪化一方の財政の再建に向けた道筋は浮かび上がってこない。
・与党や地方からの歳出増圧力に押されたまま、徹底した歳出削減を主導できないのであれば、負担増への国民の理解は得られない。
・将来の消費税増税分をその償還財源に充てるという「増税の先食い」にすぎず帳尻合わせでしかない。
・農家向けの戸別所得補償と高校無償化は制度改革に取り組まないまま関連予算を計上した。
・野田政権よ、国家公務員の給与削減、国会議員定数の見直しなど徹底した歳出削減なしに、国債頼みの予算編成はすでに限界を超えている!




〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
来年度予算案 これで「再生」できるのか 徹底した歳出削減が問われる
2011.12.25 02:56 [主張]
 これでは、日本の再生にはつながらない。
 野田佳彦首相は平成24年度予算案について「日本再生元年予算となる」と強調したが、実質的に過去最大となった歳出規模からは、悪化一方の財政の再建に向けた道筋は浮かび上がってこない。
 野田首相は年内に社会保障と税の一体改革の素案で消費税増税を決めるとしている。  しかし、そのためには民主党が掲げたばらまきマニフェスト政権公約)の撤回が不可欠だ。  与党や地方からの歳出増圧力に押されたまま、徹底した歳出削減を主導できないのであれば、負担増への国民の理解は得られない。
増税の先食いは残念だ≫:
 民主党政権で3度目の予算編成だが、当初予算としては3年連続で新規の国債発行額が税収を上回った。 歳入に占める借金の割合を示す国債依存度は、49%と今年度を上回って過去最悪を更新した。  来年度末には国債の発行残高だけで709兆円に達する。 借金頼みという異常事態が続いている。
 野田政権は、こうした危機的な国家財政の姿を直視できているのか。  確かに中期財政フレームで示した「国債費を除く一般会計歳出で約71兆円、新規国債発行は約44兆円以内」の大枠は何とかクリアしてみせた。
 しかし、これは基礎年金の国庫負担割合を2分の1に維持するための2・6兆円を通常の国債発行計画に含まない交付国債で賄うことによるものだ。 本来なら恒久財源で手当てすべきだが、将来の消費税増税分をその償還財源に充てるという。 「増税の先食い」にすぎず帳尻合わせでしかない。
 また、地方交付税も16・6兆円と前年度比1・1%減になっているが、実際の地方配分額は政府系金融機関基金取り崩しなどによって17・5兆円と前年度より増える。  体裁を取り繕うだけの予算編成では財政規律を失わせ、今後の財政再建にも悪影響を与える。
 こうした小手先の演出ともいえる手法を駆使しなければならなかったのは、高まる歳出増圧力に屈したためだ。  民主党のばらまきマニフェスト与野党で見直しが決まっていたが、来年度予算案の編成過程で協議は決裂した。 結果的に与党内の声に押され、農家向けの戸別所得補償と高校無償化は制度改革に取り組まないまま関連予算を計上した。
 成長分野などに7千億円を重点投資するとした「日本再生重点化措置」では、各省庁から約2兆円の予算要求が殺到し、それを絞り込めずに配分額は最終的に1兆円を上回る規模に膨らんだ。  アフガニスタン支援や艦艇燃料費など、日本再生と関係が薄い予算も含まれている。
≪借金頼みはもう限界に≫:
 整備新幹線でも、肝心の採算性が示されないまま北陸新幹線の金沢−敦賀など3区間の同時着工を決めた。  JRが鉄道・運輸機構に支払う施設使用料を建設費用に充てることで財源は確保できたとしているが、負担は国や地方も求められる仕組みだ。 費用対効果を見極めた公共投資が必要だろう。
 震災復興にも課題を残す。  来年度予算案では予備費を含めて約3・7兆円の復興費用を特別会計に計上し、約4500億円の除染費用を盛り込んだ。だが、削り出した表土を保管する場所が確保できていない。  これではせっかく予算がついても、執行できない事態が懸念される。
 欧州の財政危機に見られるように、将来の国債消化が不安視されると、長期金利は上昇(国債価格は下落)する。  国内資金が豊富な日本はまだ消化に問題はないが、先進国で最悪の財政状態であるとの厳しい認識は持っておかねばならない。 国債頼みの予算編成は限界を迎えている。
 安定した社会保障財源を確保するための消費税増税が必要となるが、それには徹底した歳出削減が問われる。  25年にわたって所得税増税するなどの復興増税の決定過程でもそうだったように、いったん増税を決めてしまうと、歳出削減に向けた取り組みは弱まる恐れがある。
 国家公務員の給与削減は与野党対立で法案が成立していない。国会議員定数の見直しも進んでいない。負担増に対する国民の納得を得るためには自らの身を削る姿勢を示すことが何よりも求められている。来年度予算案からはそうした危機感はみられない。