・デフレマインドにどっぷり浸(つ)かって、家計も企業も支出を増やそうとしないから景気が悪いのだ!

・北米でのシェールガス革命、メキシコが米国市場への重要な生産拠点として育ってきていることなど、北米経済の将来には期待できる面が大きい。
・日本経済はどうだろうか。金融機関も過剰融資で苦しむのではなく、貯蓄資金が集まりすぎて貸すところがなく困っている。
・デフレマインドにどっぷり浸(つ)かって、家計も企業も支出を増やそうとしないから景気が悪いのだ!
・日本経済の「気分」が大きく変わることを期待したい!



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デフレマインドの払拭
東京大・大学院教授 伊藤元重 2013.1.13 03:08
 2013年の経済はどうなるだろうか。 足元は大変に厳しい状況だ。しかし大切なことは、厳しさを嘆くことではなく、その先にある明るい可能性に目を向けることである。
 安倍新政権は大型補正予算を打ち上げている。 それだけ経済は厳しい状況であるという認識があるのだろう。  景気が悪化すれば、自公民で決めた消費税率の引き上げも困難になる。  欧州経済の低迷、中国との問題など、日本の輸出環境は厳しい。 電力料金の引き上げが企業業績を圧迫する要因となっている。  こうした流れで、2012年の後半から日本経済の落ち込みが顕著だ。 経済が落ち込んでいるときにはさらに悪くなることを考えがちだ。しかし、実際には不況の中にも景気回復の芽があるものだ。  そうした動きに注目しなくてはいけない。
 世界経済でもっとも注目されるのは米国である。リーマン・ショックから4年以上がたった。 その間米国経済は大きく落ち込んだ。  ただ、ここに来てさまざまな経済指標で底打ちの動きが出てきた。  今の米国経済の復活の最大の障害は実体経済の問題というよりは、財政の崖に象徴されるような政治の問題である。  大統領と下院のねじれが政策運営を不透明にしており、当面は財政の崖の問題にどう対応するのかが注目されている。  政治的な対立が経済の回復を妨げるほど深刻なものか、それとも歩み寄りがあって政策運営が順調に動き始めるのか。  当面の危機は回避されたが、まだ歳出抑制などで不透明ではある。  ただ、この点について私は楽観的である。 北米でのシェールガス革命、メキシコが米国市場への重要な生産拠点として育ってきていることなど、北米経済の将来には期待できる面が大きい。
 さて、日本経済はどうだろうか。 失われた20年とよく言われるが、この20年が始まったときの状況と、現在は大きく異なることを認識する必要がある。 バブル崩壊不良債権が積み上がった。  金融機関が過剰融資で苦しみ、企業も過剰債務で苦しんだ。  家計も住宅ローンで苦しんだ。  こうした流れで消費も投資も落ち込み、日本経済の低迷が続いた。  しかし、それから20年たった。  家計も企業も過剰な貯蓄資金を大量に抱え込んでいる。 住宅ローンの過剰負担も、企業の過剰債務も解消してしまった。 金融機関も過剰融資で苦しむのではなく、貯蓄資金が集まりすぎて貸すところがなく困っている。
 日本経済が低迷しているのは、バブル崩壊後の調整で苦しんでいるからではない。 デフレマインドにどっぷり浸(つ)かって、家計も企業も支出を増やそうとしないから景気が悪いのだ。  まさに景気は「気」からなのである。 資金はジャブジャブにある。  今必要なのは、その資金を積極的に使ってリスクをとって投資をしようとする企業の存在なのである。  安倍政権がデフレ脱却のための強い姿勢を打ち出している。  インフレターゲットの設定を日銀に求めた。  こうした政策の効果がでるかどうかは、国民のデフレマインドを払拭できるかどうかにかかっている。  日本の企業も景気低迷を嘆くのではなく、自分たちのその消極的な姿勢が景気低迷の最大の原因であるということをきちっと認識すべきだろう。  日本経済の「気分」が大きく変わることを祈りたい。(いとう もとしげ)