・外国為替市場では、ユーロが弱含みで推移し、円が買われやすい展開が続く。

・通貨ユーロを導入しているキプロスの危機の発端はギリシャ財政破綻だった。
ギリシャ国債を大量保有するキプロスの銀行が不良債権を抱えて経営が悪化したが、政府には公的支援を行う財政力がない。
・EUは国際通貨基金IMF)とともに最大100億ユーロ(約1兆2000億円)の支援を決めた。
・課税を嫌がる国民がEUの提案に反発し、預金引き出しに走るなど、騒ぎが拡大した。
・懸念されるのは、キプロス危機がスペインやイタリアなどに飛び火し、沈静化しつつあった欧州危機を再燃させる事態だ。
外国為替市場では、ユーロが弱含みで推移し、円が買われやすい展開が続く。





〜〜〜関連情報<参考>〜〜〜
キプロス混迷 欧州危機の再燃回避が急務だ(3月23日付・読売社説)
 地中海の小国キプロス金融危機が、世界を揺るがし始めた。
 欧州連合(EU)の主導で混乱を収拾させ、欧州全体や日本経済などへの波及を食い止めるべきだ。
 キプロス政府は、経営危機に陥った国内第2位の大手銀行を整理・再編する方針を決めた。 無秩序な破綻をひとまず回避し、EUからの金融支援を取り付けるための窮余の策と言えよう。
 EU加盟国で通貨ユーロを導入しているキプロスの危機の発端はギリシャ財政破綻だった。
 ギリシャ国債を大量保有するキプロスの銀行が不良債権を抱えて経営が悪化したが、政府には公的支援を行う財政力がない。  ロシアなど国外の預金者から巨額資金を集めていた「金融立国」モデルが行き詰まったことを示す。
 キプロスからの要請を受け、EUは国際通貨基金IMF)とともに最大100億ユーロ(約1兆2000億円)の支援を決めた。
 その条件としてEUが求めた銀行預金への課税案が、事態を混乱させる直接の要因になった。
 課税を嫌がる国民がEUの提案に反発し、預金引き出しに走るなど、騒ぎが拡大した。
 少額預金については課税対象外とし、国民の理解を得ようとした政府の法案も、世論を意識した議会で否決された。
 このままではEUの条件をクリアできず、支援策は宙に浮く。債務不履行(デフォルト)を警戒する見方すらくすぶる。
 キプロス政府が大手銀行を整理する方針を示したのは、預金課税の代替案を迫られた結果だ。 問題銀行を存続させて救済するよりも公的資金が少なくて済むメリットに着目したのだろう。
 だが、支援が速やかに実現するかどうか、先行きは不透明だ。
 最大のカギは、厳しい財政規律を求めるドイツが握る。
 キプロスはドイツなどを納得させる銀行安定策をさらに詰めねばなるまい。
 キプロスとの関係が深いロシアの役割も重要だ。  EUと連携を図ってもらいたい。
 最も懸念されるのは、キプロス危機がスペインやイタリアなどに飛び火し、沈静化しつつあった欧州危機を再燃させる事態だ。
 外国為替市場では、ユーロが弱含みで推移し、円が買われやすい展開が続く。 世界各地で株価の乱高下も目立っている。
 キプロス混迷が回り回って、経済再生を目指す安倍政権の経済政策「アベノミクス」に冷や水を浴びせないか。要警戒である。
(2013年3月23日01時45分 読売新聞)