・ロシアが法治国家ならば、略奪した4島と南樺太は 返却するのが当然だ!

・守りを怠れば、苦し紛れの融和策は手厳しいしっぺ返しを受けるという教訓だった。
・日本は中国の横暴に紳士的に対応しているが、弱腰に見える。領土問題で“弱腰”は危険だ!
・フィオナ・ヒル氏は、ロンドンで「ロシアには、北方領土を返還する気は毛頭ない」との厳しい見方を示した。
北方領土は、第二次大戦後、武力でソ連(現ロシア)に略奪された日本固有の領土だ! 
・領土問題の「引き分け」とは聞こえがいいが、実際は武力による領土の奪取を追認することだ!
・ロシアが法治国家ならば、略奪した4島と南樺太は 返却するのが当然だ!




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領土問題で“弱腰”は危険だ
ロンドン支局長・内藤泰朗 2013.3.24 03:24
 大英帝国の時代から数々の領土問題を抱えている英国は、領土にどんな姿勢で臨んでいるのか−。  そんな疑問を胸に、英国とアルゼンチンがかつて領有権をめぐり戦火を交えた英領フォークランド諸島(スペイン語名では、マルビナス)に出かけると、実にさまざまな発見があった。
 ◆フォークランドの教訓
 そのひとつに、英国の妥協が1982年のアルゼンチン軍によるフォークランド諸島への侵攻を招いた皮肉な事実がある。
 英国は当時、経済的な苦境にあり軍事費を削減。  本土から約1万4千キロも離れた島は孤立し、近くにあるアルゼンチンからの物資に依存する状態だった。  島の住民たちは「いずれアルゼンチンの島になってしまう」との危機感を募らせ、それを恐れた一部の住民が島を去っていったところに、アルゼンチンが軍事侵攻した。
 「こんなに弱体化した英国なら気長に待つまでもなく、力ずくで島を奪うことができると、アルゼンチンは考えたのさ」。  島民の第4世代で、ガイドのトニーさん(51)はこう説明した。 だが、それは誤算だった。  サッチャー英政権は苦悩の末に大艦隊の派遣を決断し、島を奪還した。
 英政府は当時、島のアルゼンチンへの譲渡や、同国海軍に港を提供することも検討していた。  軍事独裁国への融和的な姿勢は結局、双方合わせて900人以上の犠牲者を出す結果をもたらした。  守りを怠れば、苦し紛れの融和策は手厳しいしっぺ返しを受けるという教訓だった。
 「最近、尖閣諸島周辺で中国がやっていることは、アルゼンチンがフォークランド諸島に圧力をかける手口にそっくり」。
 わずか3千人の島で唯一の日本人住民、 フレッチャー由美子さん(41)=青森県出身=は、こう語った。  英国人の夫の転勤で、一昨年末に島に移住した。 「日本は中国の横暴に紳士的に対応しているが、弱腰に見える。がんばってほしい」とエールを送る。
 ◆日本囲む3つの“敵”
 いまは無人沖縄県尖閣諸島と有人のフォークランド諸島を、単純に比較はできない。  だが、各諸島が日英それぞれの領土となった時点で、中国も、アルゼンチンも独立国ではなく、島の領有権を主張し始めたのはずっと後だったという共通点は見落とせない。
 しかも、中国はフォークランド紛争終結30年の昨年、島々の領有を主張するアルゼンチン支持を表明し外交関係の強化に動いた。  中国がアルゼンチンの強引な手法を学んでも不思議ではない。
 そんな話を、英国の元外交官にしたら、「中国、ロシア、韓国という3つの“敵”を同時に相手にするのは賢明ではない」と忠告された。
 日本は、ロシア、韓国とは領土問題で譲歩して戦略的な提携関係を築き、中国との問題に集中すべきだというのだ。
 森喜朗元首相も9日付読売新聞とのインタビューで、ロシアとの戦略的な関係構築の重要性を強調した。  おまけに、日本が求めている北方四島の返還は無駄であり、「領土問題は『引き分け』しかない」と述べ、日本の元首相とは思えぬような主張を展開した。
 さらに、在ロンドンの大手商社最高幹部までが北方四島返還は現実的ではなく、ロシアに妥協することが重要だと述べるほどだ。  まるで、英国がアルゼンチンに融和姿勢をみせていた紛争前をまざまざとさせる状況である。
 ◆「引き分け」は幻想
 だが、米ブルッキングス研究所のロシア専門家で、北方領土問題にも詳しいフィオナ・ヒル氏は先日、ロンドンで「ロシアには、北方領土を返還する気は毛頭ない」との厳しい見方を示した。
 日本はソ連崩壊を挟んだ1990年代、領土返還の最大のチャンスを迎えたが、機を逸した。  「強いロシア復興を掲げるプーチン大統領はロシアの得にはならない領土返還には応じない」という。
 それでも、仮に、日本が領土問題で「引き分け」に合意した場合はどうなるのか。
 北方領土は、第二次大戦後、武力でソ連(現ロシア)に略奪された日本固有の領土だ。 領土問題の「引き分け」とは聞こえがいいが、実際は武力による領土の奪取を追認することだ。  それは尖閣諸島の武力奪取をも認めることになる。  民主的な法治国家の道を歩んできた日本の品位は地に落ち、重く、暗い影を落とすだろう。
 日本は領土をめぐる妥協という危うい幻想を捨てなければ、ロシアや島根県竹島を不法占拠する韓国、そして尖閣諸島を虎視眈々(たんたん)と狙う中国という3つの肉食系国家とは付き合えないだろう。
 守りを怠った弱腰の融和策が、英国に新たな紛争をもたらしたことを肝に銘じておくべきだ。(ないとう やすお)