前倒し廃止は、復興財源の確保が前提だ

法人税減税で恩恵を受ける産業界は、日本経済の成長に向けて賃上げや投資拡大に取り組む責務がある。
法人税は約9千億円の減税が見込める。
・復興法人税を廃止しても実効税率は30%台半ばと高止まりしたままだ。
・安倍首相は「前倒し廃止は、復興財源の確保が前提だ」と強調している。
・廃止にあたっては、景気回復に伴う税収の上振れ分を復興財源に必ず充当することを明記するなどの工夫が欠かせない。
・企業による投資を喚起して日本経済を活性化させることを目指している。
・企業も余剰資金をため込んでばかりいては成長は見込めない。





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復興法人税廃止 被災地への影響を避けよ
2013.9.25 03:17 [主張]
 政府・与党が復興特別法人税を1年前倒しで廃止する方向で検討に入った。  来年4月の消費税増税を控え、安倍晋三政権が景気の腰折れを防ぐ経済対策の一環と位置付けているものだ。
 与党内には復興財源への影響を懸念して反対する声もあるが、日本企業の競争力向上にもつながる。 前倒し廃止は必要だろう。
 経済対策には、企業に対して賃金の引き上げや設備投資を促す減税も盛り込む方針だ。
 法人税減税で恩恵を受ける産業界は、日本経済の成長に向けて賃上げや投資拡大に取り組む責務がある。
 所得税法人税は現在、東日本大震災の復興に充てるため期限付きで増税されている。 
 復興法人税は来年度末に廃止予定だったが、これを今年度末に1年前倒しすることで調整中だ。法人税は約9千億円の減税が見込めるという。

 安倍首相は一方で、復興財源規模を19兆円から25兆円に拡大し、被災地の復興を加速させる考えを示してきた。  首相が「前倒し廃止は、復興財源の確保が前提だ」と強調しているのは当然だ。
 与党内には復興財源の減少などを心配し、前倒し廃止に反対の意見もある。 廃止にあたっては、景気回復に伴う税収の上振れ分を復興財源に必ず充当することを明記するなどの工夫が欠かせない。
 被災地の復興に影響させないとの基本方針を、安倍首相がしっかりと示し、国民の理解を求めなければならない。
 安倍政権が進める成長戦略でも、企業による投資を喚起して日本経済を活性化させることを目指している。   復興法人税の前倒し廃止は、日本をデフレ経済から抜け出させることにもつながる。
 企業も余剰資金をため込んでばかりいては成長は見込めない。 政府は経済界や労働界と雇用問題などを話し合う政労使協議を始めたが、賃上げする余裕のある企業は従業員に対する配分原資を増やすなど、企業自らが積極的な行動に移すことが求められる。
 一方、国税地方税を合わせた日本の法人実効税率は、主要国と比べても高い水準にある。復興法人税を廃止しても実効税率は30%台半ばと高止まりしたままだ。
 経済界には引き下げを求める声が根強い。日本企業の国際競争力を強化し、雇用拡大などを進めるためにも法人税率を中期的に引き下げることも課題だ。