・ルールやマナーをただ教えるだけでなく、その意義を考えることで、よりよいものに変える力になることを改めて指摘している。

・道徳は戦後、日教組などの反対にあい、正式な教科とされなかった。このため、教師によっておざなりに扱われたり、別の教科に授業時間を流用されたりする問題があった。
中央教育審議会が小中学校の道徳の授業を「特別の教科」として格上げすることを答申し、教科化がようやく実現する。
・ルールやマナーをただ教えるだけでなく、その意義を考えることで、よりよいものに変える力になることを改めて指摘している。
規範意識や公共心を育む教育がより必要なときである。教科化の意義は大きい。
・勇気や正義を「押しつけ」といわず、その大切さを語り、育んでもらいたい。
・道徳授業は何より教師の指導力が問われる。子供たちの心を捉える指導内容に工夫を凝らしてほしい。







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【主張】    2014.10.26 05:01更新
道徳の教科化 心捉える教科書と指導を

 道徳教育の形骸化が指摘されて久しい。中央教育審議会が小中学校の道徳の授業を「特別の教科」として格上げすることを答申し、教科化がようやく実現する。
 規範意識や公共心を育む教育がより必要なときである。教科化の意義は大きい。
 道徳は戦後、日教組などの反対にあい、正式な教科とされなかった。このため、教師によっておざなりに扱われたり、別の教科に授業時間を流用されたりする問題があった。
 教科化に対しては、いまなお「価値観の押しつけ」といった批判がある。 しかし答申は、価値観の押しつけや言われたままに行動するような指導は「道徳教育が目指す方向の対極にある」と、明確に否定している。
 答申も言うように、道徳の授業には、立場の違いによって価値判断が異なることなど、物事を多角的に考え、判断する力を養う意味がある。さまざまな情報にあふれる時代だからこそ、こうした教育の充実は一層必要である。
 ルールやマナーをただ教えるだけでなく、その意義を考えることで、よりよいものに変える力になることを改めて指摘している。指導の参考にしてほしい。
 答申は、小中学校の発達段階や学年により「信頼」「思いやり」「公正」など留意するキーワードを明示した。指導上、わかりやすいものだが、これに対しても「押しつけ」との異論があった。
 親や教師が戦後教育で育った世代には、こうした徳目の大切さが伝わりにくい。 勇気や正義を「押しつけ」といわず、その大切さを語り、育んでもらいたい。
 答申を受け、文部科学省は平成30年度から特別教科としての実施を目指し、学習指導要領が改定されて教科書がつくられる。
 教科書検定にも懸念の声があるが、検定は一面的な価値観を押しつけるのではなく、逆にバランスのとれた内容かどうかをみる。民間出版社などが特徴のある教科書を出すことで、教材の多様性が増す。すでに教育委員会などが故郷の先人の物語などを入れた教材を使っている。ぜひ活用し、さらに内容を充実すべきだ。
 技術や医療の進展で生命倫理など大人も迷う問題も多い。 道徳授業は何より教師の指導力が問われる。子供たちの心を捉える指導内容に工夫を凝らしてほしい。