・インサイダー取引で、党幹部、国有企業役員、経営者等が、この売り逃げで巨富を手にした。

・大半の国有企業の公開情報は出鱈目、有価証券は虚偽の報告。SECは、あってもなくても同じ。
・中国の証券会社のロビィは、まるで鉄火場、日本での類似をあげると、場外馬券売り場、新装開店のパチンコ屋。その耳をつんざくような大声、阿鼻叫喚。
・株価罫線(チャート)、「PER」(一株あたりの収益率)「PBR」(同純資産倍率)という株式形成理論はいっさい通じない。
・奇策を投入しても、もはやどうにもならなくなった。地方政府の起債も認め、最後の鉄火場に撰んだのが個人投資家の金を巻き上げる株式市場であった。
インサイダー取引で、党幹部、国有企業役員、経営者等が、この売り逃げで巨富を手にした。
・値下がりに転じると、空売りをやってのけるのも、党幹部、国有企業役員、経営者らである。
・政策出動は失敗したのだ。やがて中国経済全体の崩落が始まる。











〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
ついにやってきた中国株の急落はどこまで?   
宮崎正広   2015.07.10
■何度も警告してきたように、中国経済の崩壊が本当は始まっている
 中国の株式市場を日米欧先進諸国の資本主義メカ二ズム同様に考えていると大やけどをすることになる。
  上場企業情報の透明性、有価証券報告書、そして証券管理委員会(SEC)の厳しい目がある国々と、それがまったく機能しない中国との格差を、ものごとを考える出発点にしなければならない。
 株式市場に上場されている大半の国有企業の公開情報は出鱈目、有価証券は虚偽の報告。SECは、あってもなくても同じ。
  株価罫線(チャート)、「PER」(一株あたりの収益率)「PBR」(同純資産倍率)という株式形成理論はいっさい通じない。(だって、殆どがインサイダー取引だもの)。
  中国の証券会社のロビィをじっくり観察すると、よく分かる。大きな電光掲示板。個人投資家たちは掲示板の赤いLEDの数字が入れ替わる度にどっと歓声を挙げたり、悲鳴を挙げたり、まるで鉄火場、日本での類似をあげると、場外馬券売り場、新装開店のパチンコ屋。その耳をつんざくような大声、阿鼻叫喚。
「この企業のPERは幾らですか?」と訊いても証券会社の窓口ではきょとんとしている。ロビィでの個人投資家たちの会話は「あの会社は共産党幹部の某某の息子が経営している」「この会社は習近平が最近二回視察した」等々。
 つまり共産党との結び付きの強弱が株式を買うか、売るかの判定基準であり、最近の下落にしても「なぁに、大丈夫、共産党が救済に動き出すはずだからと言う暗黙のコンセンサスが投資家たちの意識にある」(サウスチャイナ・モーニングポスト、7月9日)。
  銀行の不良債権を隠蔽するために、預金準備率を引き下げ(この半年だけでも実に四回)、財政出動による人工的な景気刺激策、不動産投資への過剰融資。そしてGDPの48%が投資といういびつなDGP構造を指摘されても、強気の投資が続いてきた中国は、金融政策をフル動員しても、どうにもならない極限状態にきて、シャドーバンキング、理財商品という手口で銀行ならびに国有企業の延命を図らせた。
 これらの政策(トいうより奇策の数々)を投入しても、もはやどうにもならなくなった。地方政府の起債も認め、太子党や幹部の関係しない企業の倒産を黙認し、最後の鉄火場に撰んだのが個人投資家の金を巻き上げる株式市場であった。
「株は上がる」と、な、なんと人民日報と中央電視台がキャンペーンを張り、つられて個人投資家らが株式市場に参入した。
過去二年間で上海株式総合指数は2・5倍となった!
  売り手は誰だったのか? もちろん決まっているでしょう。インサイダー取引を仕掛け、その前に株式を仕入れ、高騰したところでさっと売り抜ける。おどろくなかれ、党幹部、国有企業役員、経営者等が、この売り逃げで巨富を手にした。
▲「株式の下落歯止めに失敗した中国」とニューヨークタイムズは報じた
 値下がりに転じると、空売りをやってのけるのも、彼らである。
  庶民は「え、そんなはずでは」と悲鳴をあげつつ、追い証の支払いに追われる。手持ちの株を売って現金をつくるから、また株は下がる。負の連鎖の始まりである。
 暴落は「半値八掛け二割引」と昔から言われるように、おおざっぱにみても、ピークから68%下がる。上海株式総合指数は、おそらく1600台までの暴落となるだろう。
  簡単に数字かすれば、2014年6月26日から上海株は高騰をはじめ(そのひの株価は2038・68)、ピークは一年後、2015年6月12日の5166・35だった。その二週間後(2015年6月26日)は4192・87だった。
  定石的に「半値八掛け二割引」とすれば、当面は2583・32,次に2066・66となり、おそらく半年から一年後に1653・32となるだろう。
 さて当局は株価暴落を防ぐために乱暴な政策を出動させた。
  下落激しい企業の株取引を中断させ、先売りを禁止し、上場企業の経営陣と大株主に、今後六ヶ月の株式売却を禁止するという荒技にでた。
 ついで、中央銀行は証券会社への特融(つまり潰れそうな証券会社に十分な資金を供給する)を許可し、債権市場での資金調達も許可した。
▲そして、93兆円が蒸発した
  むろんトバッチリは日本にもやってくる。
  中国とのビジネスが多い伊藤忠コマツなどの株式は急落、中国が買収したラオックスにいたっては7月7日一日だけで10%以上の滑落となった。2015年7月9日までに、上海株式市場から7600億ドル(邦貨勘案93兆4800億円)が蒸発した。この額面は日本の国家予算とほぼ同額である。
  日本の投資家が中国株を買うのは香港経由であるため、日本では中国株を組み入れた投資信託がこれまで人気をあつめてきた。
 この中国株関連の投信が急落をはじめ、たとえば「三井住友ニューチャイナファンド」は過去一年で63%下落、「野村新中国A株投信は100%強の下落、最悪は野村證券があつかう「上海株式連動投信」で118%もの下落である。
 そして「下落の歯止めに失敗した中国」とニューヨークタイムズ(7月9日付け)が書いた。
 政策出動は失敗したのだ。(ギリシアのデフォルト? 規模が違うって)やがて中国経済全体の崩落が始まる。