・「国」を名乗るテロ集団の存在を許した、シリアの内戦を終結させることが不可欠だ。

イスラム国の卑劣なテロは、全世界に向けられている。テロリスト集団の壊滅に向け、国際社会はこの機を逃してはなるまい。
・国際協調、協力、調整がなければ掃討作戦の実は挙がらない。テロ震源地の壊滅が先決だという認識を持ち続けてほしい。
・「国」を名乗るテロ集団の存在を許した、シリアの内戦を終結させることが不可欠だ。
・アサド政権の扱いなど主要な対立点は残されたままだが、内戦への対応の遅れはイスラム国を利する。失敗を重ねてきた政治交渉の進展を期待したい。










〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.11.19 05:03更新  【主張】
イスラム国」 壊滅へ国際連携を強めよ

 ロシアは、エジプトのシナイ半島で224人の乗員乗客が亡くなったロシア機の墜落事故を爆弾テロと断定し、過激組織「イスラム国」が首都と称するシリア北部ラッカを空爆した。
 パリが多発テロの舞台となったフランスのオランド大統領は、イスラム国掃討作戦で米露との協力態勢を強化すると表明した。英国のキャメロン首相もシリア空爆に参加する意向を示した。
 ロシア機のテロ断定については、菅義偉官房長官も「ロシアへの強い連帯を表明する」と語り、テロの未然防止に向けた国際社会との連携を強調した。
 イスラム国の卑劣なテロは、全世界に向けられている。テロリスト集団の壊滅に向け、国際社会はこの機を逃してはなるまい。
 注目したいのは、ロシアが空爆に際し、米国に事前通告を行ったことだ。米露両軍の偶発的な衝突回避に向けて、双方が先月合意した手続きに基づく初の通告だったという。
 米欧とロシアは、シリアのアサド政権の評価をめぐり対立してきた。
 国際協調、協力、調整がなければ掃討作戦の実は挙がらない。テロ震源地の壊滅が先決だという認識を持ち続けてほしい。
 オランド大統領は、パリの同時多発テロを「シリアで計画し、ベルギーで組織され、フランスで実行された」と述べた。
 主犯格のベルギー国籍の男は、シリアのイスラム国支配地域に出入りしていたとされる。震源地はシリアにあるということだ。
 もちろん、空爆だけでイスラム国を壊滅させることはできない。「国」を名乗るテロ集団の存在を許した、シリアの内戦を終結させることが不可欠だ。
 米欧露やアラブ諸国などがウィーンで開いた外相級協議では、シリアのアサド政権と反体制派の交渉を年内に開始し、18カ月以内に民主選挙を実施するなどの行程表で合意している。
 アサド政権の扱いなど主要な対立点は残されたままだが、内戦への対応の遅れはイスラム国を利する。失敗を重ねてきた政治交渉の進展を期待したい。

 対テロでの連帯は、ロシアがウクライナ南部クリミア半島を武力で一方的に併合したことを見逃すことにはならない。
 国際社会の一員として、責任ある行動をとるべきことは言うまでもない。