・「日本の企業は 親身になって、養液栽培システムを中国に全てを教える。恩を仇で返すのが中国人だ!」ということを認識すべき。

・ビニールハウスの室内は、温度や湿度を厳格に管理。露地栽培の4〜5倍にあたる年19回の収穫が可能だ。
三菱樹脂は養液栽培システムの管理方法から店頭での並べ方まで、あらゆるノウハウを伝授している。
・下水溝にたまった油を精製した「地溝油」や、羊の肉に偽装したネズミの肉が出回るのが中国だ!
・17年までに中国の50カ所に野菜工場を納める計画。達成すれば年間4000トンの野菜を栽培できる。
野菜工場では、漢方薬の約7割に使われている薬用植物の甘草(かんぞう)も栽培できる。
・レアプラント(希少植物)は国内の漢方薬メーカーにとっては安定確保が喫緊の課題となっている。
・「日本の企業は 親身になって、養液栽培システムを中国に全てを教える。恩を仇で返すのが中国人だ!」ということを認識すべき。








〜〜〜関連情報(参考)〜〜〜
2015.10.31 14:39更新 【経済インサイド
日本製・野菜工場が中国で引っ張りだこ 「食の安全」求めて富裕層に爆売れ
人工光で苗を育てるコンテナ式装置「苗テラス」

 中国の食の安全に、日本の技術が一役買おうとしている。三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱樹脂が開発・販売し、農家などに納めている野菜工場だ。昨年から中国に売り込み始めたばかりだが、すでに数カ所に納入済みで、それ以外にも活発な引き合いが来ているという。中国は経済成長を遂げる一方で、食の安全に関する問題が年々深刻化しており、野菜工場ビジネスが一気に広まる可能性がある。
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 杭州湾南岸の港湾都市浙江省寧波市。海沿いの原野に囲まれた一角に、三菱樹脂が納めた野菜工場はポツンと立っている。
 ここでは主に、ほうれん草や小松菜といった葉菜類を無農薬で栽培している。人工光を使ったコンテナ式装置「苗テラス」で苗を育てた後、ビニールハウスに移し、太陽光と、水に肥料を溶かした培養液で水耕栽培する仕組みだ。ビニールハウスの室内は、温度や湿度を厳格に管理。露地栽培の4〜5倍にあたる年19回の収穫が可能だ。
収穫した野菜は、周辺地域の高級スーパーや百貨店に卸している。ほうれん草の場合、一束の値段は露地物の4〜5倍するが、消費者の関心は高いという。
 三菱樹脂は、日本の農協にあたる「江蘇省チャイナコープ」と2011年から無錫市で栽培試験を行った後、昨年5月に合弁会社を設立し、農業法人や大規模農家向けに野菜工場の売り込みを始めた。単に設備を納めるだけでなく、その後も定期的に訪問し、管理方法から店頭での並べ方まで、あらゆるノウハウを伝授している。日本企業が中国で野菜工場を本格的に売るのはこれが初めてだ。
 野菜工場と聞くと、狭い土地を有効活用し、人手をかけずに大量に栽培できる施設と考えがちだ。中国は人件費が安いうえ、土地がふんだんにあり、日本ほどその必要性がないように思えるが、別のニーズがある。食の安全だ。
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 中国で食の安全に関する問題が深刻化して久しい。経済発展による行きすぎたもうけ主義を背景に、下水溝にたまった油を精製した「地溝油」や、羊の肉に偽装したネズミの肉が出回るなど、日本では考えられないような事例が後を絶たない。
 10月1日には、食品関連事件への対応を強化したり、野菜や果物の栽培で毒性の高い農薬の使用を禁じたりする改正食品安全法が施行されたが、その実効性には懐疑的な声があがっている。 
 中国食品に拒絶反応を示す日本人消費者は多いが、それは中国人も同じだ。 むしろ、日本以上に中国食品にさらされた彼らの方が自己防衛意識は強く、調理前に野菜用の洗剤を使うのが一般的となっているほど。
 地溝油を避けるため、レストランに食用油を持ち込む客もいるという。
 そのうえ中国では富裕層が増えている。
 野菜工場は大量栽培できるとはいえ、5000平方メートルあたり数千万円の初期費用がかかるため、現状ではどうしても野菜の値段は高くなりがちだが、こうした富裕層は自分や家族の身を守るためには出費を惜しまないとされる。
 同社は、17年までに中国の50カ所に野菜工場を納める計画。達成すれば年間4000トンの野菜を栽培できるという。
 事業子会社、三菱樹脂アグリドリームの安部常浩植物工場グループマネジャーは「養液栽培システムにより環境に左右されず、難しい技術も必要とせず、安心・安全な高付加価値野菜を求める消費者に対し、計画的に年間通じて生産・供給できる」と達成に自信をみせる。
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 こうして普及しつつある同社の野菜工場だが、ほかにも「中国発リスク」の軽減に役立っている。
 同社の野菜工場では、漢方薬の約7割に使われている薬用植物の甘草(かんぞう)も栽培できる。財務省貿易統計によると、14年に輸入された甘草は1673トン。そのうち9割以上の1548トンが中国から輸入された。
 もっとも、野生の甘草は乱獲が進んでおり、中国政府は00年から砂漠化防止を理由に採取制限を行っている。このため常に需給は逼迫し、価格が上昇。レアアース(希土類)ならぬレアプラント(希少植物)という言葉まで生まれ、国内の漢方薬メーカーにとっては安定確保が喫緊の課題となっている。
 こうしたなか、三菱樹脂は6年間にわたり環境ベンチャーのグリーンイノベーションと苗テラスの類似設備を使った甘草の人工栽培法を研究。気候風土の違いもあって国内栽培は難しいとされてきたが、今年7月に量産技術を確立した。人工栽培が定着すれば、使用量の削減や代替素材の活用が進んだレアアース同様、「脱・中国依存」に道を開く可能性がある。今後は人工的に育てた苗を農家へ供給し、収穫された甘草を買い取ってメーカーに納めるといったビジネスモデルを検討していく考えだ。
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 中国が経済発展と引き換えに抱え込んだ問題を日本の技術で解決すれば、中国人の生活向上につながり、日本も“とばっちり”を受けずに済む。野菜工場は、そうした日中をつなぐ技術の代表例になる可能性を秘めている。(井田通人)